打ち合わせ

  • 2018年04月02日

以前住んでいた部屋は狭かった。
友人になら「空いた場所見つけて座ってー」と言えますが、仕事相手に「座ってー」とは言えない。
近所に落ち着いて話せるような喫茶店はなかったため、打ち合わせの際は大きな駅の近くにある、ホテルのラウンジを指定しました。
電車を2つ乗り継いでそのラウンジに向かう度「打ち合わせができる広さのある部屋に住みてー」と思ったものでした。

数年後に引っ越しをすることになり、部屋探しを開始。
第一番に考えたのは打ち合わせのことでした。
自宅で打ち合わせをするという前提での部屋探し。
ゲストがトイレに行く際に洗濯機の前を歩く・・・なんてことがないよう、トイレだけが独立していて、そこにだけ行けて戻れるといった部屋を選択しました。
それまでより2倍近い広さの部屋になり大満足。
これで打ち合わせの度に電車に乗らずに済むのね、私・・・と思ったものでした。

が、2倍近く広くなったとはいっても、それは充分な広さではなかった。
資料はどんどん増えていくのに、片付けが追い付かず、収納スペースから色々なものがあぶれ出す。
やがて右のソファが執筆中の資料の定位置になり、左のソファが次の小説のために用意した本を置く場所になり、ローテーブルが経費関係の資料を載せておく棚と化す。
このような状況になって、打ち合わせをどうするかという問題にぶち当たる。
「空いた場所見つけて座ってー」と言わずに済ますためには、来客時にだけそうした資料をどこかに隠さなくてはならない。
が、隠す場所がない。
そもそもそうしたスペースがあるのならば、普段からそこに仕舞っておくっちゅう話なのです。

自宅を何周も歩き回って見つけたスペースは、浴室。
何往復もして資料を浴室へ運び、取り敢えず空間を作る。
そして「普段からこうなんですのよ」といった体でゲストを迎え、打ち合わせ。
ゲストが帰られると、浴室に隠していた資料を元の位置に戻す。
これを何度か繰り返すうち「もっと広い部屋に住みてー」とまた思うように。
が、諸般の事情によりそう簡単に広い部屋に移り住むことはできません。

やがて打ち合わせの度に部屋と浴室を何往復もするのがメンドーに。
最近ではまたホテルのラウンジを指定するように。
幸い今住んでいる部屋のすぐ近くにホテルがあり、そこには30秒程度で行けます。
こうなってみると、ホテルのラウンジでの打ち合わせというのは便利。
事前に掃除をしなくていいし、飲み物や甘いものなどを用意しなくてもいい。
歩いてすぐの所にあるホテルのラウンジというのは、私の別室と考えていいのでは? と思うようになりました。
すると・・・もう歯止めがかからない。
これまでは来客があるからとの思いで、したくもない掃除や片付けに精を出していましたが、それは別室でとなると、取り組む理由がなくなってしまいました。
モチベーションを失ってしまった私の部屋が、これからどんな悲惨な状態になってしまうのか・・・空恐ろしい思いです。


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