走る

  • 2018年04月26日

女子会が開かれるレストランに向かっていました。
赤信号で立ち止まった時、前方にその女子会に出席する友人A子を発見。
A子は横断歩道の最前列にいます。
周囲に人がいて近付き難かったし、大きな声で名前を呼ぶのもちと恥ずかしかったので、歩き出したら追いつこうと考えました。

信号が青に変わりました。
と、A子が走り出した。
へ?
ワンピースを着てヒールを履いた中年女が、街中を結構真剣に走る姿って、そうそう見られるもんじゃありません。

時刻を確認しましたが、集合時間には余裕で間に合います。
フツーに歩いても、会の開始予定時間の5分前には到着できると思われます。
走る理由がわからない。
健康のためでしょうか?

レストランに到着すると、A子は涼しい顔ですでに着席していました。
「走ってたよね」と私が確認すると、「うん」と頷く。
それだけ。
説明がない。
そこで「なんで?」と尋ねると、A子は首を傾げる。
そして「なんでかな? なんとなく」と答えました。
はぁ?
なんとなく走る?
青春真っ只中の高校生かよ。
「よく走るの?」と更に質問すると、「どうかな。走ってる自覚はないけど、走ってる時があるかも」という。
走ってる自覚がない?
バッグを脇に抱えて両腕をしっかり振ってたっていうのに、それが無意識なのかよ。
絶句している私に、A子は「変だった?」と聞いてきました。
思わず「うん」と頷いてしまいました。

更に質問を重ねて確認しましたが、健康のために普段走っているといったことはなく、また昔陸上部だったといった過去もなし。
約束の時間に遅れそうだと思ってもいなかったと判明。
どうやら本当に走った理由が見当たらない。

街中をなんとなく両腕をしっかり振って走ってしまう中年女。
人間の不思議さについて考えさせられた一件でした。


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