サッカーワールドカップに、日本代表として出場する選手が発表されましたね。
これには賛否があるでしょう。
いつだって賛否はあります。
周囲のそういったことは気にせず、頑張って欲しいと思います。
選ばれなかった選手も、これまでの努力が否定されたわけじゃない。
監督が今回作りたい色と少し合わなかっただけ。
がっかりの気持ちに整理がついて、次の目標へ向かって進めますように。
12年前、ドイツへ観戦に行った時のことが思い出されます。
日本の3試合を見るために約2週間ドイツに滞在しました。
日本の旅行代理店はスタジアム近くのホテルを確保できなかったようで、試合会場からは遠く離れた田舎町の宿に泊まっていました。
日本の試合当日は、ツアー客である私たちは朝早くに貸し切りの大型バスに乗り込みます。
移動にかなりの時間が掛かるからです。
バスに続々と乗り込む私たちは皆、日本代表のレプリカユニフォームを着ています。
揃いの格好をした東洋人が珍しかったのでしょうか。
ドイツ人たちが、しきりに私たちにカメラを向けてきましたっけ。
試合のない日は観光をして歩きました。
ブルーのユニフォームを着ていなくても、日本人だとわかるのか、アイスクリーム屋のオヤジが「昨日は残念だったね」と話し掛けてきたことが。
更に「もうちょっとだったよ」と言ってきて、傷に塩を塗りこんでくる。
心の中で「全然もうちょっとじゃなかったよ。ボロ負けだ」と思ったものの、語学力が不足していたため、表情だけで「そんなことはない」といったニュアンスを出す。
オヤジが「日本に戻ったら選手は腹を切るのか?」と聞いてきたので、「オフコース」と答えておきました。
そのツアーには相当のサッカー好きが集まっていました。
それはツアコンがホテルでチェックインの手続きをしている間のこと。
私たちはフロント前で待っているようにと指示されていました。
そこにはちょっとした休憩スペースがあって、大型のテレビではサッカーの試合が放送されていました。
それに気付いたツアー客は1人、2人と休憩スペースへと移動していきました。
そしてあっという間に全員がテレビの前に集合。
夢中で他の国の試合を観戦しプレーに一喜一憂。
一方の選手が絶好のチャンスに決められなかった時には、全員で残念がる。
もう。サッカーバカなんだから。
と思わず笑ってしまった私も、しっかりその中の一員でした。
結局ドイツで日本代表は1勝もできず、私たちサッカーバカたちも涙の帰国となりました。
さてさて今回の日本代表はどんな試合を見せてくれるでしょうか。
厳しい戦いになることは選手たちもフロントも、そしてサポーターたちもわかっています。
それでも戦わなくてはいけないのですから、力が充分に発揮できるよう準備に万全を尽くして欲しいと願っています。
頑張れ、ニッポン。
我が家の洗面台には鏡が3つ並んでいる。
鏡の奥は棚になっていて、歯ブラシの買い置きや化粧品などを置いてある。
3つの鏡のうち、左と中央のは左開き。
右の鏡だけが右開き。
変なの。
フツー、統一にするよね。
と、ポンコツの私は思いました。
そしてポンコツに12年の歳月が流れました。
先日探し物をしていた時のこと。
どこに仕舞ったっけなとすべての鏡を開いて、棚をごそごそ。
そしてはっとしました。
私の左側面が、右の鏡に映っています。
これは三面鏡だったのだとようやく気が付きました。
それまでサイドや後ろをチェックしたい時は、手鏡を使って合わせ鏡にしていました。
片一方が手鏡で小さいので、あまりよく見えなかった。
繊細ではない私は、そんな程度で、ま、いっかと満足していました。
私の12年間はなんだったんでしょう。
左の鏡を左開きにして、右の鏡を右開きにしてみれば、私自身の左右がしっかり見える。
そして少し身体を捻っただけで背後もしっかり見える。
三面鏡ってすげぇ。
フツーの方はこれが三面鏡だといつ気付くのでしょう。
3つ鏡が並んでいるのを初見した時に、すぐにわかるのでしょうか。
よく商品の裏に「これは食べ物ではありません」とか、「このまま電子レンジに入れないでください」といった注意書きがあって、そんなの当たり前じゃん、誰が間違うんだよとつっこんでいましたが、いやいや、なにをどう誤解するかわからないので、注意喚起しておくべきだなと思うようになりました。
鏡に「これは三面鏡ですからね」といった張り紙の1つでもあったなら、12年間も小さな手鏡を覗き込まなかったと思うのです。
現在の部屋に入居した当初、大量の取扱説明書がありました。
電化製品それぞれに取扱説明書があったのです。
しかしながら鏡についての取扱説明書はなかった。
電化製品じゃないし、見りゃわかるだろうってことだったんでしょうね。
ポンコツのダメさは底無しなんだぞと、大きな声で叫びた気分です。
世の中に「お金持ち」の人たちがいると知ったのは、いつだったのか――。
ポンコツの私でも恐らく小学生の頃には、うっすら気が付いていたように思います。
それは身なりなどではなく、何気ない会話の中で「へ?」と思う瞬間があった時に、なんか私とは違う生活をしているっぽいぞと気付くのです。
大学生の頃のこと。
誕生日を控えたクラスメートに予定を尋ねました。
するとちょっと哀しそうな顔で、家族でどこかで食事をするんだと思うと言いました。
予定と表情が間違ってない? と思った私は「それで、なんでそんな哀しそうな顔なの?」と尋ねました。
彼女は答えました。
だって去年は家にお友達を100人呼んでパーティーだったのに、今年は地味だからと。
家に100人?
腰が抜けそうになりました。
別のクラスメートは地方出身。
大学の近くで一人暮らしをしている彼女の部屋に遊びに行くと、3LDK。
ひと部屋は衣裳部屋になっていて、ひと部屋は寝室に、最後のひと部屋は勉強部屋でした。
「家賃高いんじゃない?」と聞くと、「わからない」と答えるクラスメート。
親が家賃を払ってくれてるからわからないの? と更に尋ねると、「借りているのではなく買って貰ったもので、その金額は知らない」とクラスメートは言いました。
大学には寮があったのですが、そこに入れるのではなく、娘のためにマンションを買っちゃう親がいるということに私は驚愕しました。
社会人になって販売仕事をしていた時にも、様々なお金持ちを見かけました。
かなり高額の商品を扱っているお店だったからだと思います。
当時20代に見える男性が店にぶらりと入って来て、スーツに目を留めました。
そこは靴のブランド店で靴はかなりの高価格だったのですが、スーツやワイシャツ、ネクタイなどはライセンス品のためお手頃でした。
そうはいっても靴と比べればという話で、庶民が気軽に買えるという価格ではありませんでした。
男性客は20万円ほどのスーツの値札を見て「安いっ」と驚きの声を上げました。
そして振り返り「この値段間違ってない?」と聞いてきました。
私はとことこと男性客に近付いて、彼が持っている値札を覗き「合ってます」と答えました。
「なんでこんなに安いの?」と質問された私は、答えに窮します。
普段はどうしてこれだけいい値段なのかを「イタリア製の素材だから」「職人が手作業で」「一つひとつ丁寧に」「大量生産ではないので」といった言葉で煙に巻いていました。
逆に「どうしてこんなに安いのか?」と問われた時の回答を用意してはいませんでした。
困った私は「ご試着なさいますか?」と次のステップへ進ませてしまおうと試みました。
「そうだね」という男性客に「サイズはおいくつぐらいですか?」と尋ねると、「わからない」と言われました。
あっ。
この人はもしかしてオーダーでしか服を買ったことがないんじゃないの? と思った私は、「いつもオーダーですか?」と尋ねました。
すると「そう」と頷きました。
そして少し興奮した顔で「信じられないよ、こんなに安いなんてさ」と言います。
彼は生まれて初めて吊るしのスーツの値段を見たのでしょうか。
それまでの価値観をひっくり返されて驚いている姿は、無垢な赤子のように見えました。
彼を国道沿いに建つ紳士服の専門店に連れて行ったら、心臓発作を起こすのではないかとも思いました。
世の中には「お金持ち」がいるんだぜというお話でした。
近所のレストランの外壁に1枚の張り紙が。
『亀を返してください』と書いてあります。
はっとして水槽に目を向けると、いつもそこにいた亀がいません。
その亀は大抵首を思いっきり上に伸ばしていて、必死で水面に顔を出そうとしているように見えました。
その姿を見る度水の量は適切なのかと考えたものでした。
もう少し水量を少なくしてあげれば、そこまで首を伸ばして空気を求めることもなかろうにと思っていました。
また、亀は肩が凝ったりしないのだろうかとの疑問を抱いたりもしました。
その亀がどうやら盗まれた様子。
張り紙には今は亡きお祖母さんがプレゼントしてくれた大切な亀で、家族の一員だった云々と書いてあります。
それは盗人へのメッセージでした。
盗人にこの事情を汲み取れるほどの良心があればいいのですが。
このレストランは性善説を取っているようだというのはわかっていました。
店の前に大量の植木鉢を置いているのです。
それらの植木鉢はどれも見事に咲いていて、ベストな状態であり、またその種類は日々変わりました。
勝手な推測をすれば、裏庭で育て花が開くと店の前に移してお披露目をし、花の時期が終わると引っ込めて、開花時期になった別の鉢植えを出すといったルールにしていたのでは。
そしてそれらの立派な花々は、お披露目期間中はずっと外に出しっ放しでした。
中に仕舞って店の扉を閉めるといったことはせず、外に置いたまま。
盗まれないもんだなぁと、ある意味感心していたぐらいでした。
亀のいる水槽も同様に外に出しっ放しでした。
こっちが予想もしていないものが、盗まれてびっくりといった経験があります。
自動車に付けていた初心者マークは4枚盗まれました。
自宅から徒歩で1分ほどの住宅街の中にあった駐車場に行くと・・・「あっ。またやられた」といったことが4回。
初心者マークを盗んでどうすんの? と思いましたね。
盗人も初心者だったのか?
だったら1枚で充分じゃないのって話です。
それとも盗人は4人いたのか?
真実は今でも謎のままです。
小学生の頃は自転車にチリンチリンを付けた日に、盗まれたことがありました。
自転車を公園の端に置いて遊んでいる間に、付けたばかりのチリンチリンが盗まれたのです。
ショックを受けた記憶があります。
当時はなんだってチリンチリンを盗んだんだろうと不思議に思っていましたが、今考えるとどうして自転車は盗まれなかったのだろうと、そっちを不思議に思います。
そして亀だけ盗まれたというのも哀しい話ですし、不思議でもあります。
水槽は残して亀だけ盗んで、それからどうするのでしょう。
どこかで売るんでしょうか。
盗まれたのではなく、自ら逃亡したということはないのでしょうか。
海を見たくて冒険の旅に出たとか。
そっちだったらどんなにいいか。
亀が無事か、元気でいるかが気がかりです。