潤滑油

  • 2019年03月14日

潤滑油的な存在がいるのと、いないのとでは、場の雰囲気は全然変わりますね。

友人A子は会社を経営しています。
どうもここ最近、職場の雰囲気が良くない。
何故だろうと考えるA子。
でも答えは見つからない。
わからない中で、あるスタッフが1週間の休暇から戻って来た。
インフルエンザに罹患したためでした。
すると、職場の雰囲気が一気に変わったと感じるように。
どうやらそのスタッフがいなかったために、職場の雰囲気が悪くなっていた模様。

そのスタッフは特段仕事が出来る訳じゃない。
びっくりするような個性の持ち主でも、オリジナルなファッションセンスがある訳でもない。
だけど皆の意見を肯定的に聞ける人物で、たまに出す天然ぶりがご愛敬。
彼がいると場が和む。
彼がそうした潤滑油的存在で、なくてはならない人だったのだと、初めてA子は認識したそうです。

その話を聞いた友人B子は「それ、わかる」と言いました。
友人B子には子どもが3人。
三男坊がその潤滑油的存在になっているそう。
お茶ら気た性格で、関西出身ではないのに「笑わしてなんぼ」と思っている節がある。
その三男が病気で寝込んだ日など、太陽が消えてしまったかのように、家全体が静まり返るのだとか。
普段は三男のことを煩いと言ってばかりの長男と次男。
その二人が何度も三男の寝室を覗くぐらい心配し、寂しそうにする。
そしていつもと同じ会話をしているつもりなのに、長男と次男の反応は今一つで、些細なことで親子喧嘩になったりしてしまう。
「三男は周囲を騒がしくするだけではなく、潤滑油的な役割を担っていたのね」とB子は思ったそうです。

小説の中にも、こうした潤滑油的な存在というのは必要です。
息詰まるような展開が続く作品であればなおのこと、潤滑油的な存在のキャラクターが、ひと息入れる役割を担ってくれます。
「オーディションから逃げられない」の場合は、主人公である展子の夫、太一がその役割を担当。
いい人なんです。
でも、絶対に出世しないだろうなと思わせるような人でもある。
なんとかなるよというのが口癖のこの太一がいるお陰で、猪突猛進の展子が色々なことと衝突した際に、クッションとなってくれる。
そして職場でも自宅でも太一が潤滑油となって、雰囲気を柔らかいものにしてくれるのです。
この太一の潤滑油っぷりは作品でご堪能ください。

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