長年の夢

  • 2019年09月16日

通っている囲碁教室に、70代の男性の生徒が入って来ました。
私より3ヵ月ほど遅れての教室デビュー。
囲碁をするのが長年の夢だったと彼は語ります。
仕事が忙しくなかなか時間を取れなかった。
まだ働いているがフルタイムではなくなったので、ようやく始められることになったと語りました。
年だから覚えられるかどうか自信はないが、ひとまず3年で初心者を脱したいとの目標も披露。

その話を聞いた時、素敵だなと思いました。
いくつになっても夢を叶えたいと願い、それを叶えるために努力する人は素敵です。

と、微笑ましく男性を見つめていた私でしたが・・・気が付けば彼に抜かれていました。
ドリルを解き、正解すると次のドリルへと進んで行くのですが、こっそり覗き見れば私よりも遥か先の問題に取り組んでいる。
完全に負けている。

先生の解説を皆で聞く時間があるのですが、彼はそんな時も積極的。
手を挙げて質問をします。
あぁ、彼は頑張ってるんだなぁと思いました。
そして、そういう人ってやっぱり格好いいなぁと感じました。

新刊「たそがれダンサーズ」では、おじさんたちが頑張ります。
相当に頑張ります。
四十肩や五十腰や、高血圧や血糖値を気にしながら、社交ダンスに夢中になります。
登場人物たちが抱えている問題は色々あります。
老親のこと、息子のこと、妻のこと、仕事のこと・・・。
居場所がない気がしていたり、これまの生き方が間違っていたのではないかと疑問をもったりの毎日。

間違っていたのかもしれないけれど、それをうじうじと後悔し続けるのを一旦ストップして、ひたすら頑張るという方へ気持ちが向いた時、彼らの人生は輝き出す・・・そんな物語です。

登場人物の誰かに心を添わせて読むも良し、知り合いの誰かを登場人物に重ねて読むも良し。
特別な世界の話ではなく、どこでにもいる人たちの、ごく普通の人生の中にあるドラマに光を当てるつもりで書きました。
未読の方はぜひ、ご一読を。

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