メイク番長

  • 2019年10月21日

仲間内でメイク番長と呼ばれている女性がいます。
A子番長はメイクに関する知識がとっても豊富。
新製品の情報もしっかりとゲットしている。
これまでメイク関係の仕事に就いていたことはなく、あくまでも個人の努力で、番長の地位を獲得した人物なのです。

先日、友人らで集まった際、メイクの話に。
そうなると番長にお尋ね申し上げ、アドバイスを頂戴するといういつもの流れに。
相変わらずの適格な指摘を次々に繰り出し、皆で感心して聞いていました。

そこで私は手を挙げ「最近はこんな感じのメイクなんだけど、宜しいでしょか?」と質問。
番長はちらっと私を見ると「もうそれでいい」と言いました。

なんか、引っ掛かる。
まず「もう」という言葉。
なにかのラインがあって、そこを超えてしまったからなんだって一緒よ、との意味合いを含んでいるように感じる。
更に「それで」の「で」も引っ掛かる。
肯定的な場合は「それが」などと、「が」を使うはず。
「それが」ではなく、「それで」となると、諦めと手の施しようがないとのニュアンスが載っかって来る。

出来の悪い生徒が、先生から見放された時に感じる寂しさに似たものが胸に。

肌が弱くしょっちゅう荒れるので、これを止めてみようか、これもなどと言っているうちに、メイクはどんどんシンプルに。
今では日焼け止め効果の入った、ベージュの色付きクリームを塗るだけに。
また唇もなにを塗っても皮が剝けてしまうぐらい弱い。
やっと見つけたリップは3色展開しているのですが、残念ながらどれも私には合わない。
そこで無色のものを唇に塗るだけに。

唇に色を置かないと、かなりぼんやりした印象になる。
と、感じていることを説明し今一度番長に確認する。
「宜しいでしょうか」と。
すると番長は「もうそれでいい」と、またもきっぱりと言い切りました。

色やモノでごまかそうとしても、もう無理な年齢なのだから、なにかを載っけてカバーするのではなく、いい状態で肌をキープするという考え方に、シフトするべきだと番長は語りました。

そうか。
もうそういう年なのか。
と、納得。
番長はいつも正しい。

こうして番長のお墨付きを貰った私は、自信をもってぼんやりした顔で人様と対面するようになりました。

サイン帳

  • 2019年10月17日

実家に残っていた私の物を整理していた時のこと。
サイン帳を発見。
高校を卒業した時に、クラスメイトたちに書いて貰ったものでした。
当時はA5サイズほどのバインダーが売られていて、それをサイン帳と呼んでいました。
それには無地のカードが付いていました。

卒業の1ヵ月ほど前に、その紙をクラスメイトたちに1枚ずつ配って歩くのです。
そして「私への最後のメッセージをこれに書いて」と頼むのです。
そうして書いてくれたものをサイン帳に綴じて、1冊の卒業記念ブックとしました。

書いて貰うかわりに、こちらも書かなくてはなりません。
クラスメイト一人ひとりに向けて、思い出などを書いたもんです。

30年以上経ってそれをパラパラと捲ってみたら・・・私の過去がそこかしこで披露されている。
私へのメッセージなので、当然私がらみのエピソードが書かれているのですが、それがどれも酷い。
まだ親しくない頃に突然私が歌い出したとか、いつも2限目の後の休憩時間に早弁してたよねとか、売店の女性販売員の一人が、計算が不得意だと発見した私が、わざとお釣りの計算が難しくなるような支払い方をして、小銭を儲けていたとか。
これは本当に私のことなのか? と何度も思う。
しかしながらカードの冒頭には、しっかりと私の名前が入っている。
とういうことは、やはりどれも私がやってきたことなのでしょう。

恥ずかしいを通り越して不思議。
自分ではなく、ちょっとおかしな女の子の話を聞かされているかのよう。

そして今朝のこと。
中指に巻かれた絆創膏に気が付き、びっくり仰天する。
ざっくりと切ってしまったのは、一昨日の掃除中でした。
ブラインドと接触させてしまい、結構な量の出血。
すぐに患部を絆創膏で覆いました。
そして水仕事をする度に、絆創膏を新しいものと交換していました。
そして今朝、何気なく中指に目を留めたのです。
前夜、寝る前に巻いた絆創膏を。
でも。
怪我をしたのは人差し指なのです。
隣の中指に絆創膏を巻いてどないすんねん、お前。
と、さすがに大きな声で自分にツッコミました。
中指の隣の人差し指は、まだ生々しい傷跡を見せている。
絆創膏をする時に見なかったのか、隣の指を? と己に問いたい。
ドジというレベルを超えている。

そしてようやく、自分はちょっとおかしな人なのだということを、受け入れる時期なのだと悟る。

高校生の頃からやらかしてきたことを思えば、性質なのでしょう。
そしてこれからもずっとそうなんでしょう。
自分を受け入れて頑張って生きていかねば、と思いました。

思い付く

  • 2019年10月14日

そのアイデアはどこから?
と、よく聞かれます。
そんな時には「なんとなく、ふと、思い付いたんです」と答えます。
そうとしか言えないのです。

ただ思い付くタイミングには傾向があります。
なにかしている時が多いのです。
キュウリを刻んでいる時とか、洗濯洗剤をボトルからキャップに移している時などです。
難しいことを考えている時ではなく、なにかをしているんだけれど、それはとても慣れている行為なので、脳をそれほど使っていない・・・なんて時。
こういう設定はどうだろうとか、こういうストーリーは? などと思い付くのです。

こうしたことは風邪を引いたとか、頭痛がするといった体調不良の時には、一切起こらない。
体調が万全でないと脳は動かないんでしょうかね。

映画を観ている時の脳は、またちょっと違う動きをするように感じます。
これは映像だから出来る表現なんだよなとか、これをテキストで表現するのは至難の業とか、今のセリフ、いいなぁとか。
映画作品そのものを楽しみながらも、ヒント集を見ているような感覚があります。
勉強しているといった感覚に近いのです。

これが他の方の小説を読んでいる時には、一切起こらない。
いち読者となってただひたすら読むだけ。
この表現はどうだとか、この設定に無理はないかとか全然考えない。
その作品世界に没入するだけ。
読み終わって「面白かった」「イマイチ」といった感想はもちますが、あのシーンは参考にしたいとか、あのセリフは真似したいなんて思わない。
なんでですかねぇ。
不思議です。

それでもちゃんと好きな作家というのはいます。
どういうところが好きなのかとか、作品の感想とかはペラペラ喋れます。
ただそれはあくまでも、いちファンとしてのもの。
同業者なのだから、そこからなにか盗めよと思ったりもするのですが、全然盗む気にはならないようなのです。

ただ自覚はなくても、影響はしっかりと受けているようです。
私の原稿に対して、校正者が誤りや文章の歪みなどを、チェックしてくれるのですが、時々「この表現でOK? 翻訳小説のような語順?」と書かれていることがあります。
あ、そうなんだ。
と、指摘されて初めて気が付きます。
これは翻訳小説を読むことが多く、そうした文章に慣れているので、つい使ってしまうのでしょう。

スポーツ観戦三昧で忙しい

  • 2019年10月10日

今秋はスポーツ三昧ですね。
まずはやはりラグビーでしょうか。
日本、頑張ってますねぇ。
にわかファンなもんで選手の活躍だけではなく、いろんなことが気になる。

例えば審判がメッチャ喋ることとか。
他の競技もメッチャ喋っているのかもしれませんが、テレビ観戦している者には聞こえない。
それがラグビーだと、マイクが音声を拾って聞こえてくる。
なにを言ってるのかは、日本語ではないのでわからないのですが、審判がペラペラ喋るのを、3倍くらいの体格をした選手が大人しく聞いている姿が、ちょっと可愛い。
熱くなって、審判に食って掛かるようなことはしないんですね。
黙って大人しく聞いちゃう。

それとトライの後や、ペナルティがあった後に、物凄く高い2本の棒の間にボールを蹴る時、チームメイトたちが固唾を呑んで見守らない。
他の競技でそのようなタイミングがあれば、仲間同士で肩を組んだり、祈ったりといったことをしそうな気がするんです。
でもラグビーでは「そっちはよろしくね」ってな感じで背中を向けちゃって、ボールを蹴る選手を1人にしちゃう。
そこはいいの? 連帯感的には? と思ってしまいます。

日本選手の活躍はラグビーだけじゃない。
世界陸上では男子400メートルリレーで、日本がアジア新記録で銅メダル。
小学生の運動会の時でもリレーは盛り上がる。
クラスの代表としてではなく、日本の代表として走っている訳ですから、選手たちのプレッシャーたるやいかにと想像しますが、きっちりと結果を残すところがさすがです。
スタート前の集中している顔から、喜びと安堵感でいっぱいといった顔に変わる瞬間に、胸キュンです。

この他にも男子バレーボールの結果や、ロシアのフィギュアスケートの女子選手が、4回転を4回成功させたという、超新星登場のニュースをチェックして、勝つことの困難さに思いを馳せたりして、毎日が気忙しい。

頑張っても、求めているものを得られる人はごく僅か。
それでも頑張り続ける姿は観ている私たちの胸を打ちます。
おじさんたちが頑張る小説「たそがれダンサーズ」を読んだ人が、スポーツ観戦の後のように、報われなくても、苦労があっても、失うものが多くても、それでも人生は素晴らしいと感じて貰えたら、とても嬉しいです。

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