ピアノ教室

  • 2020年05月07日

友人A子は50歳でピアノ教室に通い出しました。
子どもの頃から習いたいと思っていたそうですが、そういう機会に恵まれなかったそうです。
50歳になって、自分のために時間を使える環境になったので、とうとう始めることになったとか。
毎週教室で先生からレッスンを受け、自宅でもコツコツと練習を重ねてきたといいます。
そうして半年に1度の発表会を目標に頑張ってきたのですが、開催予定だったホールが使用出来なくなったため、中止になったそうです。
とてもとてもがっかりしたと言っていました。

それでもめげないA子は、次の発表会へと気持ちを切り替えて練習をしていたら・・・夫が押入れから古いギターを引っ張り出してきたらしい。
ステイホームをしている夫は暇を持て余していたようで、一緒に演奏をしようと言ってきたんだとか。

「あら、夫婦で演奏なんて、おっしゃれー」と私はコメント。
しかしA子は「それがさ」と低い声で語り出します。
まず選曲でもめた。
夫が「これはどうかな?」と言ってきた曲に対して、A子は「ちょっと曲が難し過ぎない?」と懸念を表明。
すると夫は「演奏出来る曲を演奏しても面白くないよ。難しいのに挑戦して、目標を達成するのがいいんじゃないか」と反論。
「あー、そうですか」とA子は意見を引っ込める。

そして練習を始めると・・・夫が下手過ぎる。
「難しいのに挑戦して、目標を達成するのがいいんじゃないか」なんて、よくも言ったもんだとA子は思う。
夫は久しぶりだからなぁとか、腕がすっかり鈍っているよ、などとひたすら言い訳を並べ立てる。

そこで「合わす段階じゃないから1人で練習して」とA子が言ったところ・・・「なんだよ、それ。優しくないなぁ」と夫が反発したため、喧嘩へと発展したとか。
そしてステイホームの状況下では、喧嘩が延々と続くのだという。
普段なら喧嘩をしても、互いが顔を合わせない時間があるので、その間に気持ちをクールダウン出来るのでしょうが、ずっと家にいるとそうはならない。
喧嘩した相手がずっとすぐ近くにいる。
気持ちが切り替わらない。
仲直りのきっかけなんて、どこにも落ちていなくて、会話ゼロで食卓で向き合うことになっているという。

一刻も早く新型コロナウイルスが収束しますようにと、A子は祈っていると言います。
そして10年ほどして夫が定年退職したら、こんな毎日になるのかと思った途端、暗い気持ちになったとも。
テレワークではなく、70歳になっても、80歳になっても、身体が許す限り働きに出かけて欲しいもんだと、心の底から願っていると語っていました。

どうやらテレワークを望んでいない人もいるようです。


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