ゴルフを

  • 2021年03月29日

OL時代、ゴルフがマイブームだった頃がありました。
当時勤めていた会社ではゴルフが盛んでしたし、職場にゴルフを楽しむ女性社員たちもいたので、始めるにあたってのハードルが、低かったせいもあったでしょう。

コツコツと練習するタイプではありませんでした。
コースに出ることが決まり、その2週間前ぐらいから、慌てて打ちっ放しに通うというような、ゴルフをなめてんだろと突っ込まれることが必至なタイプでした。

その日は会社のゴルフ部が主催するコンペに、参加していました。
「このロングホールはドラコンだよ」と取締役から言われました。
「ドラコンってなんですか?」と尋ねると、「1打目の飛距離を1番遠くまで出せた人が、ドラコン賞という名誉のある賞を貰えるんだ」と教えてくれました。
へー。
と、私は薄いリアクションでした。
遠くに飛ばすなんて私には無理でしたから。

全然飛距離が出ないので、グリーンに辿り着くまで、何度も打たなくてはいけないレベルだったのです。
一緒に回る人たちを待たせてしまうことになるため、私は1回打つと「お先に失礼します。グリーン上でお会いしましょう」と言って、小走りで自分のボールに向かいます。
そして打つ。
ほんのちょっと先の着地点まで、また小走りで向かう。
この繰り返し。
もう手で投げた方がよっぽど遠くにいくんじゃないかと、何度思ったことか。
あまりに何度も打たなくてはいけないので、打数なんて数えてらんない。

こんなレベルの私ですから、ドラコン賞に興味なんてもたないのです。
まだ旗が立っていないからチャンスだぞと、取締役は張り切ったような声を上げました。
これまでの参加者の中で一番の飛距離を出したところに、目印として旗を立てるのが決まりだそうですが、それがありませんでした。
なんでも、フェアウェイキープが絶対条件だそうで、距離があっても方向が悪ければ、認めて貰えないんだとか。
皆、ドラコン賞を狙うので、いつも以上に肩に力が入り、ボールは曲がってしまいがちで、フェアウェイにボールが載らなかったようなのです。

そこで無欲の私がドライバーでボールを叩いたら・・・打ちどころが悪く、ボールは上りもせずにコロコロと転がり、5メートルほど先でストップ。
キャディーさんは笑いを堪えながら、そこに旗を立てました。
次に取締役がドライバーでボールを打ちます。
すぐ目の前にある旗を意識しながら。
すると大きく右へとそれてしまい、フェアウェイに載りませんでした。
このためドラコン賞については失格に。
次の男性社員も、その次の男性社員も、大きく右に左にボールは逸れて、フェアウェイに載りませんでした。

取締役は言いました。
もしかしたらドラコン賞を、君が取っちゃうんじゃないのかと。
笑いながら。

で、どうなったかというと・・・結局、私がドラコン賞を貰ったのです。
授賞式で大爆笑が起こったことは、言うまでもありません。

すぐ目の前に旗があり、あれを超えたらドラコン賞だと思った途端、欲が出て緊張も増したんでしょうね。
無欲って最強かもと思った一件でした。

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