服を選ぶ時

  • 2017年08月17日

友人A子と食事をしたのは、ファッションビルの最上階にあるレストランでした。
食事後、このファッションビルの中のショップをウロウロ。
時期的なせいでしょう。
セール品と秋物が混在しているお店が多い。

やがてワイン色のシルク風のブラウスを発見。
ノーカラーのジャケットのインナーとして、ラウンドカラーのブラウスを探していたので、心がぐっと惹かれます。

ブラウスを自らにあて鏡に映して見ていると・・・A子がじっと私の首を見つめてくる。
なんかついてる? と思うほどじっと。
しばらくして「まぁ、ギリギリいいでしょう」とA子が言いました。
「なにが?」と尋ねた私にA子はこう説明しました。
「年齢は首に出るのよ。はっきりと。哀しいくらいにね。だから首はなるべく見せない方がいいの。そうはいっても、タートルのセーターばかり着てもいられないから、ブラウスの場合は、なるべく襟が付いているものにして、できる限り首を隠すようにするべきなんだわ」と。

ほほう。
納得しかかりましたが一応反抗を試みます。
でも、ノーカラーのジャケットのインナーが欲しかったから。ノーカラーのジャケットの下に襟付きはないでしょう。
この私の訴えに対してA子の回答は「そうした場合は、なるべくインパクトのあるネックレスをして、そっちに視線が向くように仕向けるべきだね」というものでした。

A子は以前アパレルショップに勤めていたことがあり、常にオシャレに対して貪欲。
そしていつも素敵な装いをしています。
なので説得力がある。
「わかった。今の言葉を胸に刻んだよ」と私はA子に言いました。
そしてふと浮かんだ疑問を口に。
「そうなるとTシャツというのは、どういうことになるんでしょう?」と。
するとA子はうんうんと激しく頷き「Tシャツをなめちゃダメだよね。Tシャツは難しいんだよ」と答えました。
なんでもシンプル故に、襟ぐりの大きさの小さな差が、着こなしに影響を与えるとのこと。
若いうちは無頓着でも全然構わないけれど、年を重ねたらそこは慎重に吟味して選ぶべきなのだとか。
なるほどねぇと納得しました。

電気料金

  • 2017年08月14日

電気料金にメニューがあるという。
郵便受けに入っていたチラシには、色々なプランがあるので自分に最適なものを選んで得してくれと書いてあります。
さらに朝得プランや夜得プランといった例が並んでいます。

家計簿的なものを付けず、ざっくりした金銭管理しかしていない私。
たまに電気料金明細表に書かれた金額を見て、びっくりたまげることが。
高い。
それでしばらくは、部屋の電気のスイッチをやたら消しまくるのですが、そうした節約モードの気持ちは長く続かない。
やがて気持ちは緩み元通りの生活に。
そして半年ほど経ち、ふと電気料金明細表の額を見て驚愕する・・・これを繰り返してきました。

チラシによれば、HPにアクセスし簡単な質問に答えていくだけで、私にぴったりのプランがわかるらしい。

それじゃとHPにアクセスしてみました。
家にいる時間帯や、洗濯や掃除をする時間帯などの質問に答えていき、出てきた提案は・・・現在のスタンダードなプランでした。

私が得するプランはないってこと?
今のままでいいですよって言われても、全然嬉しくない。

そこで検針票にある番号を入力すると、過去の使用実績をもとに、ほかのプランに変更した場合の試算ができるとあったので、それにトライしてみることに。

すると・・・ここでもこれまでと同じスタンダードプランが、一番安いとの結果が。

これまで通りでいいとはっきりしたのに、気持ちはすっきりしない。
もしかするともっと安くなるかもと、一度思ってしまったせいでしょうか。
金額への不満は、それまで以上に大きくなってしまいました。

今回学んだこと。
人間は一度期待してしまうと、それが叶わなかった時元の状態に戻っただけなのに、とてもがっかりしてしまう。

小説のアイデア

  • 2017年08月10日

小説のアイデアはいろんなところから生まれます。

街で見かけた光景や、美術館で出合った一枚の絵から小説が生まれることがあります。
映画からテーマが生まれることもあります。
小説「エデンの果ての家」は、大好きな映画「エデンの東」のような作品を書きたいとトライしました。

テーマとまではいかなくても、映画から受けたインスピレーションを、1つのシーンに取り込むこともあります。
映画で心に残ったシーンを、自分なりにアレンジして小説に入れるのです。

ある映画で、主演女優が朝職場に出社してくるシーンがありました。
クラシックなデザインのバッグを自分のデスクに置く動きがとても優雅で心に残り、似たような状況を作り、同じように小説の登場人物を動かしたことがあります。

地位も権力もある女性が登場する映画がありました。
その女性が広い自室で客と対面する場面。
その女優は長いソファの端っこに座っていました。
背中は真っ直ぐで堂々としているように見えるし、セリフの内容は理路整然と指示をだしているといったもの。
なのにソファの端っこに座っているのが、実は自信がなくて心のもろさを隠しもっている点を、見事に表現していると思いました。
小説の中の1シーンにアレンジして使わせて貰いました。

これは確か海外のテレビドラマだったと思うのですが、警察関係者の夫が犯罪者から逆恨みされ、その男に妻が殺されてしまうという作品を観ました。
妻の葬儀で夫がメモを見ながら弔辞を読んでいくシーン。
参列者たちは涙を零しているのですが、夫はとても淡々と語っていきます。
妻との出会いや、これまでの生活を冷静に語る夫の目には涙はありません。
カメラが回り込み、メモが書かれたカードを持つ夫の手元が映ります。
カードを持つ指先の爪が白くなっていて、力が入っていることがわかります。
哀しみと怒りを堪えていることが一瞬でこちらに伝わり、ぐっときました。
涙を流したり、大声を上げたり、物を壊したり・・・といった表現以外にも、深い哀しみを伝える方法があるのだと教わりました。

このように様々なものから影響を受けて、1つの小説が生まれていきます。

盆栽にチャレンジ

  • 2017年08月07日


小説「エデンの果ての家」の主人公は盆栽のビジネスをしています。
この執筆に入る前の準備中、盆栽に関する本や雑誌を読み込みました。
やがてこれは私もやってみるべきではないかとの思いが。

ネットで探してみると・・・盆栽の通販は結構盛況のようで、たくさんのショップがあります。
目を付けたのはミニ盆栽と銘打ったもの。
初心者がいきなり大きなものは難しいでしょうし、我が家には庭はなく小さなベランダが1つあるだけなので、小さいものがよろしかろうと判断したわけです。

サイトを色々みてみると、どうも初心者には五葉松という品種のものが向いているらしいとわかってきました。
それじゃ五葉松にしようかと考えるのは、ごくまっとうな方の思考。
2本も3本もネジが緩んでいる私の場合、この五葉松がどうも渋過ぎて「カートに入れる」をクリックする気になれない。
松はとっても格好いいのですが、いかにも盆栽の王道といった感じに、私はちょっとなぁと思ってしまうのです。
初心者だからこそ王道を目指し、複数のサイト運営者の言葉を素直に聞きゃあいいものを、渋過ぎるという理由で購入を躊躇う愚か者が私です。

そうこうするうちに桜を見つけてしまう。
直径10センチほどのティーカップに、1本の桜が収まっています。
高さは約10センチと書いてあり、とても小さいことがわかります。
可愛いです。文句なく。
こっちだったら絶対手入れが嫌になったりしないと思うの。だって可愛いんだもの。
テーブルに置いたら素敵。だって可愛いんだもの。
と、気持ちは100%桜に向かっていきます。
育て方の冊子が付いているようだし、きっとできるわ、私にだって。
と、まったく根拠がないのに確信し、この桜のミニ盆栽を購入。

届いた桜は可憐な姿をしていました。
その可愛さに胸いっぱい。
朝起きると桜の様子をチェックし、昼食の準備をする前にも桜の状態を調べ、外出する前には「行ってきます」と、戻った時には「ただいま」と声を掛けるほどの溺愛っぷり。

なのに。というかやっぱり。
桜はどんどん元気がなくなっていく。
嫌な感じです。
そしてふと思い出すのは遡ること20年ほど前のこと。
手入れ不要と言われていたサボテンを枯らしたことが。
この記憶をどうして購入前に思い出せないのかと、自分が腹立たしい。

購入したサイトにアクセスし、Q&Aのページで私と似たような状況を相談している人がいないかをチェック。
するとありました。
似たような状態になった人からのSOSの投稿が。
これに対するサイト運営者のコメントは「残念ながら、復活させるのは難しいと思われます」。

呆然としました。
桜に必要だったのは愛情や声かけではなく、適切な生育環境と技術だったようです。
こんな当たり前のことにこの時点で気が付きました。

小説「エデンの果ての家」の中で、主人公は盆栽診察室を開いています。
客は病気になった盆栽を持ち込み、主人公が診察。
客は自宅でできる回復方法を教わったり、難しい場合は主人公に預けたりします。
主人公は盆栽が回復するまで面倒をみて、元気になったら持ち主に返すのです。

こういう場所があったらよかったのにとの思いが、小説の中にこの設定を作らせました。

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