文庫「僕は金(きん)になる」はお手元に入りましたか?
まだの方は是非。
文庫は3年ほど前に単行本の形で発表した小説を、文庫版にして再発表するものです。
単行本は何度も推敲し、編集者や校正者のチェックを受けた上で発表します。
ですが、3年後に文庫版を発売する前にも改めて推敲します。
すると直したい箇所が山のよう出てくる。
3年前にはこれでいいと思っていた表現が、今は違うと思うのです。
でもなるべく直さないようにします。
綺麗な文章にはなるかもしれませんが、それによって書いた時の熱が失われることがあるから。
たとえ稚拙でも作り手の熱によって、気持ちが伝わる場合があると思うからです。
こうした作業が佳境の時期に、私は引っ越しという厄介なものを、クリアしなくてはいけなくなりました。
仕事に影響が出ないよう準備をしたつもりですが、私の考えは詰めが甘く色々な不具合が発生。
新居には照明器具がないと気付いたのは、引っ越し前日。
ハハッと笑うしかなかった。
内覧した時は昼間だったので、部屋の灯りのことまで頭が回りませんでした。
そしてそれまで使っていた部屋の灯りは、スポットライト的な特殊な照明器具で、それを新居では使えないだろうと気付いたのが、引っ越し前日。
新居で使える照明器具がどういうタイプかわからないので、慌てて買うことも出来ず、そのまま引っ越し当日に突入。
バタバタと走り回る一日。
そして新居に夜がやって来る。
キッチン、トイレ、浴室、廊下の灯りは、貸主が用意してくれていたので明るい。
部屋だけ暗いといった状態。
私にはチェックしなければならないものがある。
そこで廊下に座り込み、手元を懐中電灯の灯りで照らしてゲラをチェック。
その時「人生は完璧じゃない」という格言を思い出しました。

この「人生は完璧じゃない」の言葉は、昔観た映画の中のセリフ。
その映画の中で、偽造パスポートを受け取りに来た女性が、中身を確認すると名前の綴りが違っていた。
そこで文句を言うと、偽造パスポート屋の男が肩を竦めて言葉を返すのです。
「人生は完璧じゃない」と。
この偽造パスポート屋に修正する意思はなく、女性も結局諦めます。
本筋とはまったく関係ないワンシーンの中のセリフなのですが、妙に心に残りました。
それからトラブルに見舞われた時などに、この言葉を思い出すようになりました。
そうすると少しだけ気持ちが落ち着くのです。
廊下の灯りで原稿チェックすることになったのは、誰が悪いって、己のぼんくらさが悪いのですが、それを責めてもしょうがない。
人生は完璧じゃなく、自分も完璧じゃない。
だからこんなこともあるんだよ。
そう自分を慰めるのでした。
文庫「僕は金(きん)になる」が本日から書店に並び始めます。
地域によってすでに並んでいるところ、これからのところと、色々あると思います。
書店で見つけられない時には、書店員さんに尋ねてみてください。
この「僕は金(きん)になる」には、昭和から平成、令和と長い期間に亘る家族の物語が描かれています。
主人公は守。
弟の立場で、姉、父、母らを見つめます。
姉ちゃんはなにものにも、とらわれない自由人。
爪を切っている途中で飽きてしまって、止めてしまうような人。
注文したラーメンと大福が出て来たら、大福から先に食べる人。
この姉ちゃんの上をいくのが、父ちゃん。
娘に賭け将棋をさせてそのあがりで暮らし、自分は働かない。
競馬、競艇、パチンコを楽しみ、毎日ご機嫌で過ごしている。
フツーが服を着ているようだと言われている守が、この姉ちゃんと父ちゃんの生き方を、理解できるはずもない。
思春期の頃には二人の生き方を全否定し、こんな家族がいて恥ずかしいと思う。
そんな守も年を重ねて様々な経験をしていくうちに、家族に求めるものが変わっていく。
その変遷を味わい、守たちの人生をも味わって欲しい・・・そう願っています。
どうやって読む本を決めますか?
私は直感。
勿論、好きな作家の新作だからといった理由の時もありますが、装幀を見て帯の文句を読んで、直感で決める時が多いです。
スーパーで値段をじっくり見て検討する癖に、本の値段にはほとんど注意を払いません。
何故だかわかりませんが本の値段には寛容。
海外の翻訳小説を読むことが多いのですが、その価格は年々上がっています。
それでも今のところは値段を気にせず買っています。
出版社さんからしたら、こんな私はいい顧客だと思います。
子どもの頃、母親の買い物に付き合ってよく商店街へ。
そこには書店がありたまに母親が言ったのです。
「1冊だけ買ってあげる」
テンションマックス。
真剣に1冊を選びました。
子どもの頃の我が家は貧しかったのですが、時たま出る母親の大盤振る舞いに、大喜びしていましたっけ。
その時にも本の値段には、ほとんど注意を払いませんでした。
賢い子であればそんな時こそ、自分のお小遣いでは買えないような、高額の本を選ぶでしょう。
が、賢くなかった私は、その時読みたい本の方が良かった。
文庫「僕は金(きん)になる」は700円。
値段を気にしない方にも、気にする方にも、選んで頂ける値段になっていると思うのですが、いかがでしょう。
文庫「僕は金(きん)になる」が発売になります。
地域によってバラつきがあるのですが、10月14日(木)前後に書店に並び始める予定です。
ぜひお近くの書店などで探してみてください。
「僕は金(きん)になる」はある家族の物語です。
どこにでもいそうな家族とは、ちょっと違うかもしれません。
でも家族だからこそ苛ついたり、腹が立ったりする万国共通の感覚も描かれているので、特殊な家族の物語とは言い切れません。
あなたの家族との関係性とリンクする場面もありそうです。
この小説には将棋が出てきます。
主人公の姉ちゃんは将棋が滅茶苦茶強い。
だから父ちゃんは、姉ちゃんに賭け将棋をさせて、そのあがりで暮らしています。
将棋の対局シーンはありますが、ルールなどをまったく知らなくても、この小説は楽しめるようになっています。
なにせ書いた私自身が将棋に詳しくありませんから。
敷居が高いと思わずに、手に取って欲しいと願っています。
ブックカバーのデザインは、単行本とは変わりました。
単行本の装幀をとても気に入っていたのですが、文庫版はサイズが小さくなるため、見え方やアピールの仕方が変わります。
このため文庫サイズで最適になるようにと、このようなデザインになりました。

柔らかい雰囲気の中にも生き生きとした感じがあり、これもまた素敵なブックカバーですよね。
物語は昭和から始まり、平成、令和へと長期間に亘る家族の変化を描いています。
その中で主人公、守がどう成長していくのかも、見て頂きたい箇所です。
自分にもなにか才能があるのではないかと期待して、でもそんなことなくて、平凡を絵にかいたような人生。
うんざりしていたけれど、年を重ねるうちに、自分の平凡さを受け入れていく姿は、きっとあなたの心を動かすはず。
コロナによって自宅で過ごす時間が増えた中で、読書習慣を身に着けた方。
読書の楽しみを知った方。
ぜひこの1冊も味わってみてください。
新居のキッチンは狭い。
内覧した時に、そのことには気付いていました。
でも大した料理を作る訳ではないし、これまでのキッチンが無駄に広いと思っていたので、丁度いいと思っていました。
しかし。
いざ使ってみようとしたら・・・まな板を置く場所がわからない。
中央付近に平らな場所はあるものの、そこにまな板を置くと、半分ぐらいがシンクに飛び出る格好に。
まな板を使ってなにかをカットするというのは、料理の基本中の基本と思うのですが、それがこのような小さいスペースになったのは、どうしてなのか?
だってだって、その隣にあるガス台には五徳が3つもある。
3つ同時に火を使った料理をするって、なかなかのもんですよ。
そんな料理シーンを想定しておきながら、野菜をカットする場所の確保には、熱心ではなかったのが不思議。
シンクに引っ掛けて、まな板を載せられるようなグッズを、買いなさいよってことなんでしょうか。
シンク周りの取扱説明書を見たら、工夫して上手に使ってくれとあって顎が外れそうに。
不完全であるとメーカーが認めちゃってて、足りないところは、あんたが工夫しろって・・・いいの、それで?
毎日ブツブツ言いながら使っているキッチンですが、いいところもある。
魚グリル。
実家を出てから25年ぶりに使う魚グリルには、感動しました。
あっという間に焼ける。

これまでのキッチンには魚グリルがなかったため、スチームオーブレンジで焼いていました。
これだと物凄く時間が掛かる。
20分ぐらい、スチームオーブンレンジを独り占めしちゃう。
このため焼き魚がメニューに登場する機会は、少なくなっていました。
それが魚グリルでは「え、もう?」と驚くほど、すぐに焼き上がる。
魚グリルがこれほどまでに便利なものだったとは。
すっかり気に入って、最近は焼き魚を食べる日が多くなりました。