ハマっているテレビドラマ

  • 2017年05月01日

最近ハマっているのが、テレビドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」です。
とても話題になっていると知ってはいたのですが、手を伸ばさずにきました。
だって作品紹介を読むと、7つの国だの、戦うだの、私の心にヒットする言葉が出てこないんだもの。
しかもタイトルのビジュアルには甲冑姿の男たちが使われていて、私の好奇心は微動だにせず。

ある日のこと。
有名な賞にノミネートされたとする海外のテレビドラマを見ました。
1話を見終わった感想は、「つまんねぇ」というもの。
もしかしたら2話から盛り上がっていくのかもしれませんが、それに賭ける気にはなりませんでした。
なに見ようかなぁと次に見るテレビドラマを探していた時、どうせつまらないものを見た後だから怖いものなしだぜと、なぜかなんでも来いの状態になっていました。
そこで「ゲーム・オブ・スローンズ」を見てみることに。

これが面白い。
どうして誰も私に強く薦めてくれなかったの? と言いたいぐらい。
まず脚本が素晴らしい。
たくさんの登場人物を見事に描きつつも、さばいていく切れ味が最高。
ただの国盗り物語ではなく、その架空の時代、架空の町に生きる人々の息遣いや葛藤が描かれていました。
そしてたくましく生きる姿も。
また「制作費が潤沢ですが、なにか?」と言わんばかりの贅沢なシーンがいっぱい。
1シーンにつぎ込める予算が多いと、細部にまでこだわれて、それがひいては映像としての厚みを作れるのではないかと勝手に想像していますが、どうでしょう?
制作費が潤沢であれば、スタッフの数も時間も多くかけられますからね。
丁寧に作られた1シーン1シーンによって、作品の質が高くなっていると感じました。
そしてなんといっても構成が見事。
構成がしっかりしているので、作品世界にすんなりと入り込め、様々な登場人物に心を添わせることができます。
人気が出るわけだよなとすっかり納得しました。

小説も構成はとても大事です。
最初にしっかりと構成し、隅々に気配りをしておいてから書くようにしています。
でもあまりにきっちりと最初に決め過ぎてしまうと、作品が窮屈になっていくこともあります。
登場人物たちが好きに動けるだけの余白を残しておいた上で、構成するのがミソ。

新刊「諦めない女」は読んでいただいたでしょうか?
この小説は特殊な構成になっています。
それが成功しているかどうかはわかりませんが、その構成によってサプライズするようになっています。
未読の方には、まずは手を伸ばしていただきたいと願っています。

バレエシューズ

  • 2017年04月27日

バレエシューズを買いました。
それがこちら。

色がわかりにくいですが、ダークグレーです。

靴屋で働いていた頃は、7センチヒールの靴が支給されていて、それ以外履いてはいけないというルールがありました。
その7センチヒールの靴を履いて1日中立ち仕事をしていたのですから、若さって凄いと我ながら感心します。
30代に入ると5センチヒールになりました。
7センチはキツイ。
でもローヒールは嫌。
ということで、踏ん張って5センチ。

が、これも辛くなってきた。
去年あたりからバレエシューズを愛用するように。
なんたって楽。
これにはもう1つ理由が。
足の両親指の爪が巻き爪になってしまい、ワイヤーで矯正中なのです。
歯の矯正のようなもんですね。
巻いてしまい、肉に食い込んでいる爪を正常にするため、ワイヤーの力で矯正していくというもの。
痛みはありませんが、さすがにヒールの靴は履かない方がいいだろうとの判断です。

私の足を見た女医は「これは、全然歩いてない足だね」と言いました。
そのクリニックは2階にあったのですが、私は迷うことなくエレベーターを使用していたため反論できず、苦笑いでごまかしました。
その女医によれば、爪はなにもしなければ巻いていくものだそうです。
それでは何故手の指の爪は巻かないのかといえば、手の指を動かし使うことで、巻いていこうとする力と反対の力が加わり、その圧によって、巻くのがストップさせられているから。
足の指も同様に、たくさん歩いたり走ったりすることで、下から上へと圧をかければ、巻く力に勝てて、巻かなくなるそうです。
歩こう。
そう思いました。

新刊「諦めない女」には歩き続ける人が登場します。
娘の行方を捜す母親です。
娘が行方不明になり、母親は一人捜し続けるのです。
休みの日になると、今日はこの駅、次の週はその隣の駅と、ビラを配って歩くのです。
毎週毎週歩き続けます。
それが何年も続きます。
その母親がそれからどうなっていくのかは、小説で。

頑固さ

  • 2017年04月24日

アスリートの引退会見は寂しいですね。
永遠に競技者ではいられないとわかってはいても、胸にこみ上げる寂しさを小さくはできません。
浅田真央選手の引退会見を見た時も、寂しさを感じました。
大会の度に、身内のように一喜一憂したことが思い出されました。
お疲れ様でしたと声を掛けたいですし、たくさんの感動を有り難うとお礼を言いたい気持ちです。

一流選手の共通点は頑固さでないかと思っています。
コーチや監督の言うことを素直に聞くのも大事だけど、自分が信じた道を突き進む頑固さも大事。
この相反することを両立しなくちゃいけないってのが、難しいですよね。
でもコーチの人生ではなく、監督の人生でもなく、自分の人生を生きるなら、時には忠告をシャットアウトして我が道をいくしかないことも。
そうやってたくさんの壁を自ら打ち砕いた人だけが、一流選手になれるように思います。

「頑固」という言葉はどちらかというとネガティブに使いがちですが、「信念」と置き換えると途端にポジティブな色が付きますね。
「頑固」と「信念」はほぼほぼ近い言葉なのに不思議ですね。
私はどちらの言葉も好きですし、どちらももっていたいと思っています。

新刊「諦めない女」の中には、頑固な女性が登場します。
ある日突然娘が行方不明になった母親、京子。
京子は周囲の人たちがなにを言おうが、娘は生きていると信じて捜し続けます。
頑固さMAX。
月日が経つにつれ周囲の人たちは、希望的な言葉を京子に掛けられなくなります。
やがて言い出します。
前を向いて――。
それは娘の不在を受け入れて、それでも強く生きていってという励ましの言葉。
京子はそうした言葉をシャットアウトします。
そのうちに京子に手を差し伸べようとしていた人たちが、離れていきます。
孤立しても京子の気持ちは揺るがない。
この京子がどうなっていくかは、「諦めない女」をお読みくださいませ。

新刊「諦めない女」

  • 2017年04月20日


新刊「諦めない女」が書店に並び始めました。

この執筆には1年以上の時間が掛かりました。
その間ずっと聴いていたのが、ラフマニノフでした。
「ベスト・オブ・ラフマニノフ」というアルバムで、「ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 Op.18-I.Moderato」や「ヴォカリーズ Op.34」などが収録されたものです。

1つの作品を書く時、小説のイメージと合う1つのアルバムを延々と聴き続けます。
つまり1年以上1つのアルバムを聴き続けたということで、よく「飽きない?」と聞かれます。
飽きません。
フツーに音楽を聴くだけなら勿論飽きるでしょうが、小説を執筆中にかける音楽はちょっと違う位置づけになります。
音楽というよりは、その小説の世界にある空気のような存在になるのです。
キャラクターたちは、その空気を吸いながら暮らしています。
そして無意識。
でもなかったら、キャラクターたちは生きていけない。
小説の中のキャラクターたちと私にだけ必要な空気。
それが執筆中の音楽の役割です。

空気ほどに大事なものですから、執筆に取り掛かる前のアルバム選びは慎重に行います。
時にはアルバム選びに何日もかけることも。
ただ今回は比較的短時間で、ぴったりのアルバムを見つけることができました。
きっかけは、フィギュアスケートの試合をテレビ観戦していた時。
1人の選手が演技を始めました。
その時に使用していた曲が、ラフマニノフの作品でした。
この暗さがいいなと思いました。
それまでラフマニノフという作曲家の名前は知ってはいたけれど、曲については未知。
そこでアルバムを購入してみることに。
未知過ぎてなにを買ったらいいのかわからず困りましたが「ベスト・オブ・ラフマニノフ」というタイトルのアルバムを見つけ、まずはこれからトライしようと決意。
すると、これがイメージしている作品世界にぴったり。

雨が降る前の空のような、陰鬱な感じ。
厳かな雰囲気と、不穏さが同居しているような音楽。
そしてなんといってもドラマチック。
これよ、これ。
と、このアルバムに決めました。

「諦めない女」を読み終わった時、皆さんの胸の中にはどんなメロディーが奏でられているでしょうか。


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