本日から新刊「残された人が編む物語」の発売がスタートします。
地域によっては数日遅れることがありますので、見つけられないなんて時には、お近くの書店さんにお尋ねください。
この本には5つの物語が収められています。
5人それぞれが大切な人の行方を追います。
行方がわからなくなった人の人生だけでなく、残された人たちの人生も描いています。
残された人たちの心情は複雑です。
そうした心情の中には哀しみや、心の痛みがあります。
この辛い気持ちを経験した後で生まれる心情の変化をも、描きたいと思いました。
この難しい表現にトライしたことで、様々な受け取り方が出来る、小説になっているのではないかと思っています。
上手く描けているかはわかりませんが。
「新刊の発売日にはなにか特別なことをするんですか?」とよく聞かれます。
「祈るだけです」と答えます。
すると少しがっかりしたような顔をされます。
こうした質問をする方は、どんなイメージをもっていたのでしょう。
「高級レストランで食事をしてシャンパンを頂きますの」とか、「旅に出ます」・・・なんて答えを期待したのでしょうか。
海外のある女流画家さんは、1つ作品を仕上げると、宝石を1つ買うという話を聞いたことがあります。
その画家さんは女優さんのように美しい方で、そうしたエピソードがぴったり。
私の場合はそうしたエピソードが似合いません。
しいていつもと違う変化を挙げるとするならば・・・牛肉売り場で足を止めますかね。
いつもならスーパーで牛肉売り場は素通りです。
高いから。
肉なら鶏か豚でOKと思っています。
が、ふと牛肉売り場で足が止まる。
今日ぐらい、ちょっと贅沢してもいいんじゃないかと考えます。
そして国産牛肉のパックを籠に。
こんな記念日の過ごし方。
スケールが小さいですね。
でも幸せです。
そして祈ります。
一人でも多くの人に、この小説を読んで貰えますようにと。
新刊の発売日、6月9日が近付いてきました。
タイトルは「残された人が編む物語」です。
ひと足早く届いた見本がこちらです。

透明感のある装幀になりました。
この装幀をとても気に入っています。
この本の中には5つの物語が収められています。
5人の登場人物たちは、それぞれが大切な人の行方を捜そうとします。
消息を追ううちにそれまで知らなかった、大切な人の生き様を聞くことになります。
そんな面があったなんてと、がっかりしたり、そんな思いでいたのかと、力になれなったことを悔いたりします。
事前に読んでくださった方たちの感想の中では「泣きながら読んだ」というのが多かった小説です。
ただし、哀しいばかりではなく、前に向かって生きていく素晴らしさも、感じて頂けるような一筋の光が射している作品です。
「新刊が出ます」と私が言うと、「どんな作品?」と聞かれます。
これに答えるのは結構難しい。
すらすらと答えられる作家さんもいらっしゃるのでしょうが、私は苦手。
「えっとぉ、あのぉ、だからぁ、小説」と答えて、「大丈夫か、お前?」と思われたりする。
どういう作品かを説明するのが難しいのは、語り出したら2、3時間じゃ終わらないぐらい長くなりそうなものを、コンパクトにまとめなくてはいけないってところ。
「テーマは?」と聞かれても、同じように答えに困ります。
小説にテーマが必要ですか? と質問に質問で答えてしまう。
難しいことは考えず「物語」に没入し、その世界を味わって欲しい。
それだけなのです。
テーマなんて、読んだ人がなにを感じたかによって変わるもの。
こちらから提案するようなものではないと思っています。
ということで、ここでどういった作品なのかを、短くお話することが出来なくて申し訳ありません。
これはやっぱり本を読んでいただくしかないと、まとめさせて頂きます。
来週の6月9日に新刊が発売になります。
タイトルは「残された人が編む物語」。
詳細はまだ語れないので次回のブログで。
今年は作家デビューして20年目の年。
小説を発表出来る場を頂けていることに感謝しています。
これね、心から思っています。
有り難いなぁって。
応援してくださる方たちのお蔭です。
そしてもう1つお知らせが。
「総選挙ホテル」の文庫版が増刷されるので、これまでより入手し易くなります。
「増刷」。
なんて甘美な言葉。
間違いなく作家が1番好きな言葉です。
この言葉で作家のモチベーションは、一気に上がります。

電子書籍で読む方が増えているようですが、紙で印刷された本もまだまだ頑張っています。
紙版を作ると、出版社さんにとっては在庫を抱えることになります。
それでも印刷しましょうと考えてくれたことが嬉しいですし、紙派の人たちに本を届けやすくなるのも嬉しいことです。
「総選挙ホテル」は2016年に単行本として発売されました。
それから6年。
今も興味をもってくださる方がいることもまた、嬉しいです。
「総選挙ホテル」の舞台は、その名の通りホテルです。
様々な人たちが働いています。
このホテルは残念ながら傾きかけています。
立て直しをするために新社長がやって来ます。
新社長が言い出すのは「はぁ?」と聞き返したくなるようなことばかり。
従業員たちは翻弄されまくります。
不満を覚えるし不安にもなる。
従業員たちがどうやって倒産の危機を、また新社長の無理難題を乗り越えていくのかが描かれています。
興味をもたれた方は本書をぜひ。
今住んでいる街に引っ越してきて驚いたのは、信号機がない横断歩道の多さでした。
小学校や保育園などがあり、たくさんの子どもたちが行き来するエリアなのに。
信号機は高いのでしょうか。

「危ないしいつまで経っても渡れなくて、時間が掛かっちゃうじゃない」と思いました。
車は停まってくれないものだとの認識があったから。
ところが。
横断歩道の端に立ち右を見て左を見ます。
車が走って来るのが見えたので、それが通過するのを待とうと立っていると・・・車が停まる。
「あらまぁ、有り難う」とぺこりとお辞儀をして、渡り始める。
一応急いでいますよと見せるために、早足で歩道を渡りました。
数日後、また横断歩道を渡ろうとすると車が。
歩道の端に立つ私を認めた車は停まりました。
もしかしてここら辺は、車を停める親切な人たちが住んでいるエリアなのか?
それで信号機を設置しないのか?
善意におんぶにだっこで大丈夫なのか?
たくさんの疑問が頭に浮かぶ。
前に住んでいた街の横断歩道には、必ず信号機がありました。
そして小道がクロスしているようなところを、車はガンガン左折、右折して、歩行者の私はガン無視されていました。
歩行者優先と教習所で習わなかった? と何度聞きたくなったことか。
こんな状態に馴染んでいたため、歩行者のために車を停めるドライバーが、天使のように見える。
当たり前っちゃ、当たり前なのですが。
先日、近所を探索していた時のこと。
片側一車線の道路を、次から次へと車が走り抜けて行きます。
交通量がハンパない。
さすがにそこの横断歩道には信号機がありました。
立ち止まり向かいの信号機を見上げたら・・・押しボタン式と書かれた掲示板が。
押しボタン式?
なんだそれは。
動揺する。
こちら側の信号機の柱に目を向けたらボックスのようなものがあり、そこにボタンを発見。
そのボタンを押せば青信号になると書いてあります。
多分私は初体験。
恐る恐るボタンを押す。
するとすぐに車側の青信号が点滅。
と思ったら、あっという間に赤に。
私がイメージしていた時間よりも短時間で信号が切り替わりました。
こっちの心の準備が間に合わないほどの秒速で。
車が停まり私はおずおずと渡り始めます。
ドライバーたちからしたら、信号を変えた張本人が、目の前を横切っていくといった状態ではないでしょうか。
悪いことをしている訳じゃないのに、胸には恐縮感が溢れます。
信号機を設置するのか、しないのか、どの種類の信号機を設置するのか・・・どんな基準で判断しているんでしょうね。