今日は最近観た映画の中から面白かったものをご紹介。
まずは「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」。
この星で知らぬ人はいないのではないかというほどの存在である、マクドナルドが誕生するまでの実話を基にした映画です。
私はマクドナルドの歴史について全く知識がありませんでした。
だから冒頭でレイ・クロックというオッサンが、アメリカの地方の町を一人で営業して回る姿が描かれている時には、頑張ってるなーといった思いで観ていました。
やがてこのオッサンはマクドナルド兄弟と出会い、彼らが始めたビジネスに猛烈に惹かれて、自分もやりたいから契約してくれと言い出します。
この時点でなんかヤな感じがしてくる。
押しが強いオッサンに対して、マクドナルド兄弟は人がいい。
だからマクドナルド兄弟が酷い目に遭いそうなで、マズいんじゃないのと、兄弟に注意してあげたくなる。
そして残念ながらこの予想通りの展開に。
レイはマクドナルド兄弟から根こそぎ奪っていく。
夢や理念や希望や未来を。
観終わった時、深い吐息が出ました。
一人の男の成功ストーリーとしてだけでなく、映画としての面白さも楽しめる作品です。
次は「ハロルドとリリアン ハリウッド・ラブストーリー」。
こちらはドキュメンタリー作品です。

この作品を観て映画の世界に「絵コンテ作家」と「リサーチャー」という存在がいることを知りました。
絵コンテ作家であるハロルドと、リサーチャーであるリリアンの夫婦の物語です。
長年連れ添った夫婦の物語が大好きなので、この作品も期待して見始めました。
生い立ち、周囲の反対、生活苦・・・様々な困難を二人で乗り越えていく様が、当人をはじめとした多くの人へのインタビューによって描かれます。
更にそれぞれの仕事についての変遷も紹介されます。
有名な映画がどんな風に作られていったかといったエピソードも、興味深いものでした。
ハロルドは脚本を読み監督の頭の中を想像し、手書きで絵コンテを作成します。
それは、こういったアングルで、こういったセットでといったことが、ひと目でわかるような絵です。
その絵の通りに撮影していけばいい・・・それって、もうあなたが監督なんじゃないの? と言いたくなるような仕事。
それなのにクレジットに名前が出ないこともあったという裏方仕事。
そして妻のリリアンが担当していたのは、リサーチの仕事。
映画に説得力をもたせるため、実際はどういったものなのかを調べ上げるのが役目。
資料を探したり、ツテを頼って当事者に話を聞きに行ったりといった仕事で、時にマフィアにアポを取ることもあったようで。
そんな大変な仕事を、とても楽しそうに回想していたリリアンの姿が新鮮でした。
結婚離婚を繰り返すハリウッドにいて、ハロルドとリリアンの愛情は確固としていて、傍目からは羨ましいを通り越して、美しく見えます。
一人の人を深く愛して、また愛されていると感じられることの幸せ・・・その素晴らしさに気付かされるドキュメンタリー映画です。
初めて動物園に行ったのはいくつの時だったのか。
そして最後に動物園に行ったのはいくつの時だったのか・・・思い出せません。
友人A子は近頃動物園にはまっているそうです。
月に1度程度自宅近くの動物園に行き、ぶらぶらするのが楽しいと言います。
通ううちに動物たちと顔馴染みになり、今日は元気がないなぁなんてことがわかるようになったと、A子は主張します。
A子によれば一番味わい深いのは雨の日だとか。
雨をまったく気にしない動物もいるし、そもそも檻の中にいる動物は雨に打たれない。
ただオープン型の飼育スペースで過ごしているけれど、雨を嫌がる動物もいる。
そんな動物が小さな庇や樹の下に寄り集まっている姿は、目に焼き付くと言います。
普段は割と仲が悪くて、しょっちゅう諍いをしているような動物が「お前は出てけよ」的な意地悪はせず、体を寄せ合い狭い場所を分け合っている姿は、見習いたいような思いになるとも話していました。

動物を狭い空間に押し込めて、本来の生態系とは違う状態で飼育し展示するという、現在の動物園の運営スタイルは、世界的には否定される傾向にあるようですね。
そうなるとやがては遠足の行き先は、バーチャル動物園になっていくのでしょうか。
バーチャル動物園にするならば、すべてを再現して欲しい。
あの「え、なにこれ?」といったくさい臭いも、ぜひ再現して欲しい。
とかく制作スタッフは皮膚の質感や毛並み、動きの滑らかさといったリアリティーを突き進めていきがち。
でも動物って独特の獣臭があるし、糞の臭いも強烈。
それが生きているってこと。
だからこそ、そういう汚い、臭い部分は表現しないようにしようと、なんらかのブレーキをかけてしまいがちですが、それだと本来の姿ではありませんよね。
生々しさは失われ、その動物を見知ったことにはならないように思います。
そしてバーチャル動物園では、雨の日の動物たちの様子も入れて欲しいですね。
人生のピンチの時をどう遣り過ごすのかは難題ですね。
庇の下に寄り集まって、雨が止むのを待とうとするのもアリでしょう。
皆が一休みしている今動けば有利になると考えるのもアリ。
その決断は難しいし正解が一つとも限らない。
1つの会社に同じ目標をもっている2人がいたとしても、ピンチへの対処法も同じとはいかない。
そこに感情というやっかいなものが加わると、決断は更に難しくなったりする。
小説「オーディションから逃げられない」の中では、こういったことも描きました。
A子との待ち合わせは駅の改札口。
見当たらないので私の方が先に到着したみたい。
目立つけれども通行人の邪魔にならない場所はどこだろうと、キョロキョロしていると・・・「久しぶり」と声を掛けられる。
え?
なんとさっきから視界に入っていた女性が、当のA子でした。
ドギマギする私にA子は「太ったから、わからなかったでしょう」と言う。
「うん。わからなかった」と答えてしまう私。
聞けば、20キロ太ったという。
その数字は重い。
実際重くなっているというだけでなく、それの意味するインパクトも。
昔のA子はとてもよく食べる人でした。
気持ちいいほどの見事な食べっぷり。
1食に食べる量も多いし間食もしっかり摂っちゃう。
それなのに体型はスリム。
「理不尽じゃ」と騒ぐ友人たちは多かった。
「運動なんて嫌いだからしない」と豪語し、「出産後もなにもしなくても、元に戻った」としれっと言い、周囲の人間に「理不尽じゃ」と叫ばせまくりだった。

ところが。
50歳を過ぎてから、突然体質が変わってしまったという。
誰かがどこかのスイッチを押したのか、それまでと同じ生活をしているだけなのに、徐々に、そして確実に体重が増えていくように。
当然ながらA子は生まれてから一度も、ダイエットをした経験がない。
だから、どうしたらいいのかわからない。
ネットで調べてみようと思ったら、あまりにたくさんの情報があって、なにを信じたらいいのかラビリンス。
そうこうしているうちにも体重は増えていく。
着られる服はなくなり、買い揃えていくのも結構大変。
そこでジムに通い始めたそうですが、体重は減るどころか、現状維持にも四苦八苦だとか。
「どうしたらいい?」と聞かれたので、「健康状態に問題がないのなら、ライフワークだと思って、ゆっくり取り組んだら?」とコメントしました。
痩せたいと言いながら全然痩せない人たちを、不思議に思っていたというA子。
いざ自分がその身になってみて、初めて皆の気持ちがわかったとも語っていました。
我が身に降りかかるまでは、その困難を想像するのは難しいとは、よく聞く話。
そして50代で体質が突然変わったという話も、よく聞きます。
体調の変化を感じ取れるよう、常に耳を澄ましていようと思いました。
新元号が「令和」になりましたね。
世間の皆様がこれほどまでに新元号に関心があったとは、思っていませんでした。
メディアを通して、全国各地がお祭り騒ぎになっている様子を知りました。

たまたま病院の待合室で4時間待たされるという苦行の日が、新元号の発表の日。
待合室にあったテレビを延々と見続けたせいで、そんな風に感じたのかもしれませんが。
テレビからは制作者側の苦労が滲み出ていました。
お土産店や、ハンコメーカーなどが、新元号発表と同時に、いち早く新商品を作ろうと奮闘するシーンをカメラは映し続ける。
それ、興味ありません。
そんなことは制作者側だって百も承知でしょう。
でもなにか流し続けなくてはならない。
新元号は「令和」だそうです。以上。
だけじゃ、やっぱりダメなんでしょうね。
だからといって、深く広げるには限界がある。
それでワサワサしている人たちを映像に収めて、送ってくるのでしょう。
お疲れ様です。
将棋の藤井七段が新記録を樹立するかどうかの大事な対局の日も、そうでしたよね。
対局がどういった勝負になっているのかといったことや、形勢分析などをしたのは、将棋の専門メディアだけで、一般のメディアが流してきたのは出前のメニュー。
それ、興味ありません。
これだって制作者側は百も承知でしょう。
まったく知識のない人たちに、将棋のルールを大まかに説明し、途中経過を解説するというのは、難しいという判断だったのでしょうか。
でも比較的マイナーなスポーツだと、ざっくりとルール説明をして、その試合がどういった展開だったのかといった話をした上で、日本人選手がどんな風に好成績を上げたのかといった情報を、とても上手に処理して視聴者に提供してくれます。
この手法は将棋では無理なんでしょうか。
制作者の皆さん、頑張って。
新元号がらみで一番驚いた映像は、号外を手に入れようと大勢の人が群がっているものでした。
今の時代でも、号外というアナログな伝達方法を取るんだという驚きだけでなく、それを配布するのに、スタッフが手渡しという昔ながらの手法を選択したという驚きの上に、手に入れたいと思う人たちが物凄く多いという事実に、三重の驚きでした。