小説「恋愛検定」の台湾版

  • 2016年04月11日

小説「恋愛検定」の台湾版が発売されました。
「恋愛検定」には恋愛の神様が登場します。
ある日突然、この恋愛の神様が現れて「検定に合格するよう頑張って」と言われます。
恋愛検定には上はマイスターから、下は初心者クラスの4級までの区分があり、受検者は現在のレベルに合わせた級の合格を目指します。

恋愛の仕方というのはその人の本能に近い部分を映し出すものなので、周りからは滑稽に見えることも。
それでも恋愛のすったもんだは心を成長させてくれますし、いい恋愛は心を潤してくれます。
今順調な人も、トラブっている人も、恋愛検定の合格を目指して奔走する登場人物たちと一緒に、恋愛について考えてみていただけたらと思います。
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この恋愛検定でマイスターを合格できそうなぐらいの技量をもつ女友達がいます。
狙った男は確実に仕留めます。
彼女は失敗という言葉を知らないんじゃないかと思います。
外見は・・・これが世間の尺度でいうところの美人ではない。
フツーなんですね。
それじゃなんでこうも次々と男たちを仕留めていくのかと、ほかの友人たちと分析をしたことがあります。
そこで出した結論は「彼女の表情が男心を掴む」というものでした。
彼女は男性の話を、好奇心いっぱいといった表情で聞くのです。
それが、すっごくつまらない話であったとしても。
目をキラキラさせて「それでそれで?」なんて絶妙なタイミングで相槌まで打っちゃう。
夢中で自分の話を聞いてくれる女性を、嫌いになんてなりませんよね、誰だって。
彼女は表情が豊かで、喜怒哀楽を豪快なまでに表に出します。
男が昔の大変だった話なんかし出したら、顔を曇らせ、まるで自分が体験したかのように哀しそうな表情をする。
そして男が自慢話を始めれば、すごいねぇなんて感動したような表情を作り、さらに驚いてみせたりもします。
このようにして、フツーの外見の彼女は男性を仕留めていくのです。

が、彼女の場合長続きしない。
男心は簡単に手に入るものなので、それほど大事にしようと思えないのかもしれませんし、別の獲物が気になっちゃうようなのです。
次の獲物もすぐに彼女の手に落ちるわけですが。

友人らの食事会に、彼女が参加するとわかった時には「メモ帳とペンを持参するように」というのが仲間内のギャグになっています。
少し期間が空くと、彼女の話に出てくる登場人物が大幅に変わっていたりして、頭が混乱してしまうので、整理するために、メモを取りながらの方がいいよといった理由が隠されています。

長編と短編

  • 2016年04月07日

小説には長編と短編があります。
なにが違うかといえば、言葉通りその長さです。
私は長編専門です。
たまに「短編を書いてみませんか?」とお話を頂戴します。
そんな時には「長編と短編では使う筋肉が違うので、私には短編は書けません」と申し上げお断りします。
「そうは言わずにトライしてみては」と仰る方には、「マラソン選手なのに、同じ陸上競技だから、100m走もやってみたらどうですかと言われているぐらいムチャに感じます」と答えます。
すると「両方お書きになる作家も多いですよ」と言う編集者も。
そういう時は・・・黙ってテーブルの1点を見つめてじっとしている。
そのうちに編集者はじわじわとダメなんだなということを理解してくれて、「それじゃ、長編で」と妥協してくれます。
そうなったらこっちのもの。
「はい。頑張りますっ」と大きな声で宣言する、というのがいつものパターンです。
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長編と短編では書き方がまったく違うのだろうと思います。
書いたことがないので、あくまで推測なのですが。
また楽しみ方も長編と短編では違いますね。
読者としてはどちらも読みますし、どちらも好きです。
長編では登場人物たちの変化や成長をゆっくりと味わえるのがいいですし、短編では1シーンに凝縮された喜怒哀楽が、とても身近に感じられるのがいいですよね。

同じように連続テレビドラマと映画の楽しみ方にも違いがありますね。
連続テレビドラマの場合、トータルの時間はかなり長くなりますから、登場人物に寄り添っている時間も長くなり、小説でいえば長編の楽しみ方に近い感じでしょうか。
一方の映画は、一気に気持ちを作品の中に入っていける没入感が強く、これは短編の味わい方に近いように思います。
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NHKBSプレミアムドラマ「嫌な女」が最終話を迎えます。
4月10日(日)午後10時からが第6回の最終回となります。
連続のテレビドラマでしたから、変わっていく徹子と、変わらない夏子に寄り添う時間が長くなり、これによって深く作品を堪能していただいていたならば、とても嬉しいのですが。
俳優の皆さんをはじめ、多くのスタッフさんたちによって、丁寧に真摯に作られた作品です。
どうぞ最終回をお見逃しなく。

ロッカーの鍵

  • 2016年04月04日

美術館には大抵荷物を預けられるロッカーがあります。
利用するには100円を入れて錠を掛けますが、開錠と同時にその100円は戻ってきます。
私はバッグにあれこれ入れる習慣があり、結構重いので、空いていればこのロッカーを利用します。
折り畳み傘や手帳、筆記用具、リップなどを収納しているポーチといった品々のほか、コートなどもロッカーに入れます。
そして身軽な状態で館内を歩きます。

その日もそうして館内を回遊し、絵を堪能し終え、ロッカーの前に戻ってきました。
鍵を穴に差し込むと、カチッと100円玉が落ちる音が。
で、鍵を捻る。
ところが鍵穴がびくともしない。
でもって、開かない。
さっきより強い力で鍵を捻ってみますが、ダメ。
そうそう、私はドジだった。
と、己のことを思い出し、ロッカーの番号と、鍵についている札の番号が合っているかを確認。
が、合っている。
故障?
あー、できれば私が壊したのではありませんようにと祈りながらスタッフを探します。
受付にいた女性スタッフに「鍵が開かないんです」と訴えると、「100円が落ちる音はしましたか?」と聞かれたので、激しく頭を上下に動かし「しました、しました」と答えると・・・。
その女性スタッフは、私が握っていた鍵に手を伸ばしてきました。
そしてその鍵を摑むと「このむきで、穴に差し込んでください」と言い、「このむきです」と繰り返しながらそのまま鍵穴に差し込めるよう鍵を縦にした状態で戻してきました。
えっ?
鍵を逆に差し込んでいたなんて、しょうもないオチ?
が、確かに鍵穴に差し込んだ鍵を左右に動かしてはみましたが、一旦抜いて、上下を逆にしてのトライはしませんでした。
そんなことこれっぽっちも思いつかなかったのです。
自分のダメっぷりがたまらなく恥ずかしくなり、「やってみます」と小声で言って、ロッカー前に戻りました。
で、言われたむきで鍵穴に差し込み、捻ってみると・・・すっと鍵が動きました。
なんちゅう応用力のなさ。
鍵が動かなかったら、上下を逆にしてみようと思いつかなかった自分が腹立たしいやら、情けないやら。
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そのまま何事もなかったように帰れればよかったのですが、残念ながらそこは先ほどの受付の前を通過しないと、外に出られないつくりになっています。
あまりに恥ずかしいので、さっきの人が休憩に行っていたらいいんだけどと思ってしまう。
そして受付の前に。
休憩に行っていなかった。
そこで、ポンコツですみませんといった風情を全身から発しながら「お世話様でした」とペコリと頭を下げて受付前を通過。
駅に向かって歩き出しながら、今度開錠できない時には、必ず鍵を逆さにしてトライしてみるぞと誓ったのでした。

サプリメントを

  • 2016年03月31日

やけにサプリメントに詳しい友人がいます。
この友人は海外旅行の際には、税関で大抵別室に連れて行かれ、スーツケースに入っている大量のサプリメントの説明を求められるそうです。
これは売買目的ではなく、自分が飲むものだと説明し、いかに海外での食事では栄養バランスが偏るかといった講釈まですると言っていました。
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私はこの友人ほどに興味はなく詳しくもないのですが、なんとなく血液サラサラの方がいいなとは考え、そうなると謳っているサプリメントだけは毎日摂っていました。
それの説明書きには1日4個飲むようにと書いてありました。
そこで毎食後に飲むように。
しかしこれだと1日3食なので3個となり、1個足りない。
でもまぁ、フツーの食事からも摂っているだろうから、大体こんな感じでいいだろうってな具合で1日3個を飲んでいました。
件の友人に聞かれでもしたら、どんだけ長い説教をされるかわかりません。

ある日、いつものようにネットショップでサプリメントを買おうとすると・・・容器が一新されたと書かれていました。
あっそ、ぐらいの薄いリアクションで購入。
サプリメントの容器にもまったく興味がないのです。
届いたサプリメントの容器は確かにデザインが変わっていましたが、なんの感慨も抱かず、即冷蔵庫へ。

その日の夕食後、サプリメントの容器の蓋を開けて・・・びっくり。
サプリメントの1個のサイズが、巨大になっている。
急いで容器の裏書きを読んでみると、1日1個でいいと書いてある。
これまでも1個のサイズはそこそこ大きかったのに、それが4倍になっている。
これは喉を通るのだろうかと思うぐらいの大きさ。
なんの知識もなくこれを目にしたら、口に入れるものだと思う人はいないんじゃないかというぐらい。
色が透き通ったゴールドなので、子どもの頃流行った、滅茶苦茶跳びはねるスーパーボールを思い出して、地面に打ち付けたくなりました。
私は元々薬のようなものを飲むのが得意ではなく、4錠飲めと書いてあったりすると、一気には無理で、1錠ずつ水で飲んでいくぐらいなのです。
こんな私には絶対に無理なサイズ。
多分1日4個より、1日1個の方が便利だろうという発想でしょうかね。
これによって喜ぶ人が多いのかもしれませんが、私はがっかり。
このサプリメントは飲まなくなりました。
唯一飲んでいたサプリメントが、サイズの巨大化という思わぬ理由で飲めなくなったので、現在はなにも摂っていません。
友人に言えば、きっと私にも飲めるサイズのものを紹介してくれるのでしょうが、話が長そうなので相談するのは止めておこうと思います。


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