ロッカーの鍵

  • 2016年04月04日

美術館には大抵荷物を預けられるロッカーがあります。
利用するには100円を入れて錠を掛けますが、開錠と同時にその100円は戻ってきます。
私はバッグにあれこれ入れる習慣があり、結構重いので、空いていればこのロッカーを利用します。
折り畳み傘や手帳、筆記用具、リップなどを収納しているポーチといった品々のほか、コートなどもロッカーに入れます。
そして身軽な状態で館内を歩きます。

その日もそうして館内を回遊し、絵を堪能し終え、ロッカーの前に戻ってきました。
鍵を穴に差し込むと、カチッと100円玉が落ちる音が。
で、鍵を捻る。
ところが鍵穴がびくともしない。
でもって、開かない。
さっきより強い力で鍵を捻ってみますが、ダメ。
そうそう、私はドジだった。
と、己のことを思い出し、ロッカーの番号と、鍵についている札の番号が合っているかを確認。
が、合っている。
故障?
あー、できれば私が壊したのではありませんようにと祈りながらスタッフを探します。
受付にいた女性スタッフに「鍵が開かないんです」と訴えると、「100円が落ちる音はしましたか?」と聞かれたので、激しく頭を上下に動かし「しました、しました」と答えると・・・。
その女性スタッフは、私が握っていた鍵に手を伸ばしてきました。
そしてその鍵を摑むと「このむきで、穴に差し込んでください」と言い、「このむきです」と繰り返しながらそのまま鍵穴に差し込めるよう鍵を縦にした状態で戻してきました。
えっ?
鍵を逆に差し込んでいたなんて、しょうもないオチ?
が、確かに鍵穴に差し込んだ鍵を左右に動かしてはみましたが、一旦抜いて、上下を逆にしてのトライはしませんでした。
そんなことこれっぽっちも思いつかなかったのです。
自分のダメっぷりがたまらなく恥ずかしくなり、「やってみます」と小声で言って、ロッカー前に戻りました。
で、言われたむきで鍵穴に差し込み、捻ってみると・・・すっと鍵が動きました。
なんちゅう応用力のなさ。
鍵が動かなかったら、上下を逆にしてみようと思いつかなかった自分が腹立たしいやら、情けないやら。
kagi
そのまま何事もなかったように帰れればよかったのですが、残念ながらそこは先ほどの受付の前を通過しないと、外に出られないつくりになっています。
あまりに恥ずかしいので、さっきの人が休憩に行っていたらいいんだけどと思ってしまう。
そして受付の前に。
休憩に行っていなかった。
そこで、ポンコツですみませんといった風情を全身から発しながら「お世話様でした」とペコリと頭を下げて受付前を通過。
駅に向かって歩き出しながら、今度開錠できない時には、必ず鍵を逆さにしてトライしてみるぞと誓ったのでした。

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