夏祭りに

  • 2015年08月03日

夏祭りの季節ですね。
カルメ焼きやお好み焼きなど、子どもの心を鷲づかみにする屋台はたくさんあります。
私が子どもの頃特に人気だったのは、ひよこを売っている屋台でした。
今でもあるんでしょうか?
何故祭りにひよこだったのか、皆目見当がつきません。
そのひよこがピンクや緑などに羽毛をカラフルに染められていたのも、なぜだったのかわかりません。
この謎に満ちたひよこ売りの屋台には、子どもたちがいつも鈴なりでした。
hiyoko
「欲しい」
「ダメ」
「買って」
「すぐに死んじゃうから、可哀相でしょ」
「欲しい」
「ダメ」
といった会話が各親子間でなされたものでした。

大抵は買って貰えないのですが、たまに買って貰えたとしても、すぐに死んでしまうという親の予言はあたり、哀しい結末を迎えるのが常でした。

中学生になって、なぜか祭りのひよこの話になったことがありました。
すると友人が、小学生の時のクラスメイトに、ひよこを鶏にまで育てるのに成功した人がいたと発言しました。
おおっと驚きの声が上がります。
なんでも、雄鶏で毎朝物凄い早い時刻に「コケコッコー」と鳴くので、近所からクレームがきたとのこと。
しょうがないので、祖母の家がある田舎へ鶏を移すことに。
祖母の庭に鶏を残し、家族たちは都心の自宅へ戻るため、車に乗り込んだそうです。
すると、すっかり懐いていた鶏は置いていかれるとわかったようで、その車を走って追いかけてきたとか。
「コケー」と叫びながら追いかけてくる鶏を、その子は後部座席から見つめ続けたというのです。
友人の中の1人が尋ねました。「その鶏は田舎でそれから幸せに暮らしたの?」と。
いつのまにやらそこにいた全員が、その鶏には、幸せになりましたとさ、めでたしめでたしといった結末を期待していました。
しかし友人は答えました。「田舎に移った翌日、車にはねられて死んだって」と。
絶句する私たち――。
なんとも後味の悪いひよこのお話でした。

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