資格を

  • 2023年03月16日

なにか資格をもっていますか?
私はなんにももっていません。
なんてざまでしょう。

あっ。
そういえば秘書検定の2級はもってます。
大学生の時になにも資格をもってないことに気付き、就活前に急いで取った資格でした。
この1つだけしかもっていません。
なにやってんだか。
自分に呆れます。

友人A子はとてもたくさんの資格をもっています。
会う度に新しいことを勉強しているのです。
A子はいつも好奇心と向学心に溢れています。
A子が顔を輝かせて、今勉強中のことについて語る姿を見る度に、私はサングラスを掛けたくなる。
眩しくて直視出来ないから。

先日、久しぶりにA子と会食。
勉強のプロともいうべきA子が、暗記力の低下を嘆いていました。
勉強の基本は暗記と理解。
この大事な暗記力が、年齢と共にダダ落ちしているのだとか。
以前なら1時間で覚えられたことが、3時間掛かるように。
そして忘れる速度は、以前の何倍も速いという。
だから繰り返し頭に入れる必要があるんだそう。
大変です。

そうやって努力を続けた上で、ドキドキしながら試験会場に行き問題を解く。
この緊張感に堪らなく興奮するんだとか。
この興奮を味わいたくて、勉強していると言っても過言ではないぐらい、病みつきになっているそうです。
分かるような、分からないような。

3月9日に発売になった文庫「じゃない方の渡辺」では、登場人物の1人の、資格試験に纏わる話が出てきます。
その人物は毎年受験しているのですが、合格出来ない。
ちゃんと勉強していないから。
毎年受験対策のために問題集を買うものの、開いた形跡がない状態。
試験日が近づいてきて、慌てて勉強するといった程度。
だから合格なんか出来ない。
仕事に必要なその資格の重要性は分かっている。
だから試験の申し込みをするし、問題集も買う。
だけどここで満足してしまう。
それで「今日は疲れているから明日やろう」が、「来週に」となり、「来月から」となっていく。
そして1年ってあっという間だなと気付く頃には、試験日が迫っているのです。
この人物の気持ちなら100%分かる。

小説「じゃない方の渡辺」の中のこの人物は、結局この資格がないこともあって、人生を大きく転換せざるを得なくなります。
そしてこれに家族も巻き込まれることに。
どのように巻き込まれ、どのように家族が生きていくことになるのかは、是非この小説を読んで確認してみてください。

お祝いの席に

  • 2023年03月13日

先日、50代の友人A子が3回目の結婚をするというので、そのお祝いの席に参加しました。
1回目と2回目はイケメン君だったのですが、今回は「えっとー」という容姿の殿方。
50代になったA子は価値観を変えたのでしょう。

そのB男はニコニコと皆の話を聞き、穏やかな性格のよう。
今度こそ大丈夫そうだと、その場にいた全員が喜んでいました。

やがて誰かが、結婚を決めた理由を2人に尋ねました。
今度の結婚が2度目となるB男は「なにかなぁ」と言いながら、幸せそうな顔でA子を見つめる。
A子もB男を見つめ返し、同様に幸せそうな顔で「やっだー」と言って彼の腕を叩く。

そんな2人を微笑ましく感じるのは、彼らが50代であるからかも。
20代のカップルが同じことをしたら、見てるこっちが恥ずかしいのじゃと、声を荒げていたでしょう。
しかし50代のカップルなら、そんな赤面シーンも、これまでの人生色々あったけど、こうやって良き伴侶と出会えて良かったねといった心境になれる。

ところが。
A子が言い出しました。
「実は私たち、趣味が一緒なの」と。
A子の今の趣味ってなんだっけと、考えなくてはいけないほど、これまで彼女は様々なことにトライしてきた女。
すぐに夢中になるのですが熱が冷めるのが早く、こっちが付いていけないほど、A子の趣味は目まぐるしく変遷してきたのです。

A子が言いました。
「競馬」と。
途端に固まる参加者たち。

A子が明るく「デートはいつも競馬場なの。儲かったらそのお金で、豪華なディナーにしようねって約束してるんだけど、いっつもすっからかんになっちゃって、家でカップラーメンになっちゃうのよ」と言って笑いました。
こっちは全然笑えない。
A子のこれからが一気に心配になりましたが、本人が幸せそうなので、よしとするしかないのでしょう。

文庫「じゃない方の渡辺」の登場人物たちも結婚をします。
結婚を決めた理由は様々。
納得出来る決め手もあるし、そんなんで? と驚く決め手も。
そうして結婚した後、二人がどんな家族になっていくのか・・・見守って頂けると嬉しいです。

「じゃない方の渡辺」発売スタート

  • 2023年03月09日

文庫「じゃない方の渡辺」が発売になりました。
今回も素敵なカバーにして頂きました。
ちょっと懐かしさがあって、可愛さもあって、そして大事なインパクトもあるという、何拍子も揃ったカバーだと思うのですが、いかがでしょう。

文庫化するにあたり、タイトルを変えることになりました
編集者との打ち合わせで、それぞれがタイトル案を考えて出し合い、その中からいいものを選ぶということに。

元々タイトルを作るのが私はとても苦手。
ではあっても、タイトルが大事だというのは重々承知している。
これまでも頭を捻りまくって、なんとかタイトル案を提出するも、私のは採用されないケースがほとんど。
それでも小説を書いた責任上、タイトル案を出さないという選択肢はない。

今回も苦しみながら約10個を作成し、編集者にメール。
編集者が考えた案が届くのを待っていました。
数日後電話が入り、私が提案した中の1つ「じゃない方の渡辺」でいきましょうと言われる。
それ? と自分で提案しておいて驚く。

タイトルを考え始めてすぐに浮かんだのが、この「じゃない方の渡辺」でした。
いい感じの気がしますが、いや、さすがにこれはちょっとないか、と思っていたタイトル。
それでも提案する10個の中に入れたのは「なんつって」的なものが、1つぐらいあってもいいかと考えたから。

しかしこれがいいと編集者は言う。
で、紛糾することなく、あっさりとこのタイトルに決まりました。
だから編集者案は見ずじまい。

あなたはいつも自分に、スポットライトが当たるような人生を過ごしていますか?
そんな人はごくごく僅か。
ほとんどの人にスポットライトは当たらない。
でもそんな名もなき人たちの人生だって、輝いている。
それを描きたくてこの小説を執筆しました。
皆さんに読んで頂きたいと願っています。
是非お買い求めください。

文庫「じゃない方の渡辺」が発売になります

  • 2023年03月06日

3月9日に文庫「じゃない方の渡辺」が発売になります。
地域によって発売日は前後しますので、書店で見つけられなかった時には、店員さんに聞いてみてください。

この「じゃない方の渡辺」は、「オーディションから逃げられない」というタイトルで、単行本の形態で発表した小説を、文庫化にあたり書名変更したものです。
単行本で未読だった方は、文庫本になったこの機会にぜひご一読を。
この新タイトルで摑みはオッケーといった感じになるといいのですが、どうでしょう。

主人公の展子はこのタイトル通り、「じゃない方の渡辺」と周囲から認識されている女性。
自分には光が当たりません。
光が当たるのはもう一人の渡辺の方。
屈折した思いを抱えながら中学、高校と進学。
絵を描くのが好きで美術部に入部しますが、ここでもやはり光が当たるのは他の部員で、展子ではありません。
いつも主役にはなれない展子が、恋をして、結婚をして、出産をして・・・年を重ねていきます。
嬉しいこと、口惜しいことをたくさん経験した末に、なにに気が付くのか。
それを見届けて頂けたらと願っています。

展子の実家はパン店です。
小説の中には様々なパンが出てきます。
これも小説を読みながら、楽しんで頂けたらと思っています。

以前、パン作りにハマったことがありました。
パン焼き機は使わず、自ら捏ねて、発酵させて、オーブンで焼いていました。
が、何故か捏ねている時に限って、電話が入るという経験が何度も。
捏ねている時は時間との勝負。
素早く捏ねるのが大事なのですが電話が入る。
電話の音を無視するか、出るかの二択。
ここで無視する方を選べないのが私のダメなところ。
急用かもしれないと思ってしまう。
それで急いで手を洗い、一塁に滑り込むかのように電話機に突進。
必死の形相で受話器を握ると、いらない物を引き取りますという営業電話だったりする。
電話の相手が驚くぐらいの音をさせようと、わざと受話器をガチャンと力任せに置く。
これぐらい許されると思う。
キッチンに戻るとパン種はぺしゃんこに。
一応焼きますが、硬いパンになり全然美味しくない。
パンを作る時には一瞬も目を離してはいけないのです。

パン店の盛衰と、じゃない方と言われ続けた女性の歩みの、両方を味わえる小説をぜひ読んでみてください。


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