切手を

  • 2021年03月22日

小学生の頃、クラスで切手を集めるのが流行りました。
誰が始めたのかはわかりませんが、なんとなく私もといった気分に。

確か小学生が読むような雑誌に、切手の通信販売をする会社の広告が載っていて、ご丁寧にも申し込みハガキまで付いていたような。

親に聞いたらあっさりと許可されたので、切手は子どもが収集するのに相応しいものとしての地位を、確立していたのかもしれません。

月に1度、5~6枚ほどの世界各国の切手が郵送されてきます。
1回目に届いた専用ファイルに、やはり付属品として送られてきたピンセットを使って、切手を収めます。
この作業中に切手を見つめた時間は、5分ぐらいでしょうか。
1度収めてしまえばそれで満足してしまうので、次の切手が届くまでファイルを開くことはない。
これぐらいの薄い興味しか、私にはありませんでした。

こんなでしたから、ファイルに収めることさえメンドー臭くなるのは早い。
届いた封筒の封を開けることさえしなくなります。
この事態にいつ親が気付き、定期購入をいつ止めたのか・・・覚えていません。

小学校を卒業間近な頃、クラスメイトの男子の家に何人かで集まる機会がありました。
お楽しみ会的なイベントの練習のためだったと、記憶しています。
誰かの家に行くと、本棚に並んでいるものを見るのが当時から好きだった私は、そこでもチェック。
するとなんとなく見覚えのあるファイルを発見。
「これ、なに?」と私が聞くと、「あぁ、それ」と言って出してくれました。
それは私もかつて買っていた切手ファイルでした。
開くと海外の切手がずらっと並んでいる。
しかもそうしたファイルが10冊ほどもありました。
す、すごい。
なんとなく負けた感じがしました。

私がファイルを手に固まっているのを、興味があると勘違いしたクラスメイトが「切手、好きなの?」と聞いてきました。
ぶんぶんと激しく首を左右に振り、「一番好きなのはどれ?」と質問してみました。
すると「これだな」と言って、1枚の大き目の切手を指差しました。
それは聞いたこともない国の、随分前に1年間だけ使われたものだそうで、10枚の切手と交換してやっと手に入れたのだとか。

切手収集が流行ったのは随分昔。
それからいくつもの流行りものが登場しては、消えていきました。
チョコレートバーの袋に入っているシールや、アメリカンフットボールのチームグッズなどなど。
そんな中で本当に好きなものと出合い、収集を続けている子がいた・・・それは新鮮な驚きでした。

新商品とは

  • 2021年03月18日

某化粧品メーカーが廃棄量を減らすために、新商品を半分に減らすとの記事を目にしました。
なんでも生産量の1~2割は売れ残るそうで、新商品を減らすことで、廃棄量の削減に繋げたいんだとか。

化粧品メーカーには、いっつも新商品を買え買えと言ってくるイメージがあります。
せっかく気に入っている品を買おうと思ったら、すでに廃番になっているなんてことはしばしば。
新商品の場合、合うかどうか試さなくてはいけない。
もし合わなかった場合には、別のメーカーのものを探す旅に出なくてはならないので結構メンドー。
私は新商品よりも、気に入っている品がずっとずっと買えるようにして貰った方が、よっぽど嬉しいんですが。

今年の春のアイメイクのカラーリングは・・・なんて雑誌などでよく見かけますが、季節ごとにアイシャドーの色を変える人って、どれくらいいるんでしょう。
若い人はそんなにコロコロ色を変えるのなんでしょうか。
売り手と買い手の間に差はないんでしょうか?

昔、お店で販売員をしていた頃のこと。
そのお店ではバッグも扱っていました。
直輸入品はとても高額で、お金持ちの人しか手が出ない価格帯でしたが、ライセンス商品になると、OLさんも頑張れば買えるといった値段になっていました。
ライセンス商品の、あるシリーズがとても売れました。
そこで半年後には色を変えたり、素材を変えたりして、シリーズのデザイン数を増やしました。
売れ続けてはいましたが、1年後には次の売れるシリーズを出さなくてはいけないと、誰かが思ったようで新シリーズが登場。
そちらを店の一番目立つところに飾りました。
人気だったシリーズは、店の隅にちょっと並べるぐらい。
ところが片隅に追いやられた方が、まだまだ売れる。
でも販売員は毎日見ているので、飽きてしまっていて、それをとても古く感じています。
だからあくまでもそちらは、旧シリーズを一応置いてありますといった程度の感覚。
新シリーズの方を一生懸命に売ろうとしていました。

ある日、友人から「デパートで新商品を見て素敵だなと思って値段を調べたら、なんとか買えるぐらいだったから欲しいんだけど、あなたに頼んだら社員掛けとかで安くなる?」と聞かれました。
どの商品のことかと思ったら・・・旧シリーズの方のことでした。
だから「それは新商品じゃなくて1年前のシリーズ。新しいシリーズが出てるよ」と教えました。
「そうなの?」という友人は、「でも先月デパートで見たんだけどな」と言います。

その時、はっとしました。
いつ発売されたとか、前のシリーズだとかは、作り手側と売り手側の話であって、買う方は、初めて目にした時が、新商品という感覚になるのですよね。

売り手側と、買う側では、商品に触れる頻度が全然違います。
だから両者では新鮮さという感覚は、まったく違うのだと気が付きました。
売り手側の感覚で新商品を作り捲るスピードは、早過ぎるのではないのか。
そんな風に考えたことを思い出しました。

そのお店ではディスプレーは割と自由にやらせて貰えていたので、ショーウインドーに、旧シリーズのバッグを飾ってみました。
ショーウインドーには新商品を並べるのがセオリーなので、これはセオリー破りでした。
どうなったか・・・旧シリーズのバッグが売れて、お店の売上は上がりました。

いろんなことを考えさせられた一件でした。

無料でプレゼント

  • 2021年03月15日

ここしばらく気に入って使っている化粧品があります。
敏感肌用のものです。

そこからメールがきて、購入累計額が〇〇円以上になったので、全商品の中かから好きなものを1点、無料でプレゼントしますと書いてありました。

となれば、やはり買っている品の中で、1番金額が高いものを貰うべきでしょう。
そこのメーカーでは化粧品だけでなく、シャンプーやハンドソープなども売っていて、そうしたものもまとめて購入しているため、そこそこの額になっていました。
が、それぞれの値段については把握していません。
そこで各品の値段を調べ始めました。

アイクリームの購入を始めて決めた時「たっけーな」と思った記憶があり、これが1番高額の品だと予想したのですが・・・違いました。

洗顔料でした。
「こんなにする?」ってぐらいの額でしたし、よく購入を決めたなと思う額でもありました。
恐らくそれまで使っていた化粧品が突然合わなくなり、慌てて次の品を探している時で、値段は大目に見たのでしょう。

この洗顔料を貰うことにしました。
そしてその晩。
チューブを絞り掌に洗顔料を出します。
これまでの半分ぐらいの量を。
値段がわかった途端に量を減らそうとする、わかり易いケチです、私は。
これまでより水を大目に使って泡立てます
これまでより力を入れ、これまでより手をたくさん動かして、一生懸命泡立てました。
するとこれまでより時間は掛かりましたが、いつものクリーミーな泡が完成。
半分でイケるんじゃん。
これまで以上に努力さえすれば。

メーカーがプレゼントすると言ってくれたお陰で、値段に注意を向けるようになり、節約出来る可能性を見つけることが出来ました。
努力すれば、ですが。

10年前のあの日

  • 2021年03月11日

10年前のあの日、あなたはどこで、なにをしていましたか?

私は自宅で執筆中でした。
大きな揺れに驚きました。
食器や花瓶などが倒れる音が部屋に響き、恐怖でいっぱいに。
あぁ、この世が終わる。
こんな終わり方は嫌だ。
そう、思いました。
腰が抜けて立ち上がることが出来ない状態であったにも関わらず、原稿の入ったUSBメモリーをポケットに入れたのは、どうしてだったのか、今でも不思議です。
これだけは死守せねばと思ったのでしょうか。

あれから10年。
なにが変わったか・・・水や非常食などを用意しておくようになりました。
また自宅近くの避難場所を記した地図を、非常袋の中に入れておくようになりました。

あの時、自然のパワーと恐ろしさを目の当たりにして、人間の小ささも痛感しました。
自然に対しては謙虚に用心深く、接しなくてはいけないのだと思い知りました。

原発で電気を作るには大きなリスクがあるのだと、気付くきっかけとなりました。
低コストだとか、二酸化炭素を排出しないだとか、そういう利点は、安全な状態で稼働している場合にはという条件付きのものだったと知りました。
大きな自然災害を被れば、利点なんぞ吹き飛びます。
それまで上手に隠されていたデメリットの大きさに、呆然とするしかありませんでした。

あの時、なにが出来たのか。
なにが出来なかったのか。
今からでも出来ることはなんなのか。
そうしたことを考え続け、行動していけるようになりたいと思います。

それまでも私にとって書くことは、生きることでした。
そんな私が10年前の震災の時、しばらく書くことが出来なくなりました。
それだけショックが大きかったのです。
でも時が過ぎていくうちに、むくむくと書きたいという思いが胸に溢れてきました。
時間を重ねたことで、今だからこそ書ける小説があるはずだと、気持ちを切り替えられるようになったのです。
それから10年経った今。
書くことは生きること・・・これは変わっていません。
これからも書き続けるでしょう。

皆さんの10年はどんなでしたか?


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